【物語の背景】
主人公は東京都内在住の50代の大手建材メーカーの会社員。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
ここで出演するのは主人公の勤務先の後輩。なんでも実家をリフォームするとか……。
「センパイ、少し相談ですがいいですか?」
「どうした?」
「実は実家がリフォームをするらしいんですが、どうやら親父が『工事を急がせろ』ってゴネているらしいんです。親父は昔から短気だったんですけど、業者にまで強く出ちゃうのは困ってしまうんですよ。」
「なるほど。工期を短くするのはメリットがあるけど、問題が発生することもあるよ。短ければ良いってわけじゃないんだ。」
「なるほど、『短ければ良いわけじゃない』ってところ、もう少し教えていただけませんか?」
「いいよ。簡単な話さ。」
リフォーム工事はなぜ工期が重要なのか
「最初に工期が重要な点を説明しよう。工期は結構いろいろな場面に影響するけど、どんな場面で影響が出るかを挙げてみるぞ。」
「はい、お願いします。」
近隣への影響があるから
「まず考えるべきなのが『近隣への影響』だろうな。リフォーム工事には結構な騒音が付きものだ。あとは、塗装なんかだと悪臭も出るだろう。いずれも周囲に迷惑を掛ける。」
「確かに影響が大きそうですねぇ。」
「しかも、工事は1ヵ月を超えることもあり得る。その間、騒音や悪臭に見舞われたらイヤだろう。」
「ま、そうですよね。」
「けど、工期が短縮化されたら、周囲に迷惑を掛ける日数も短くて済む。近隣との関係を良好に保つためにも重要なんだ。」
「なるほど。」
生活への影響があるから
「次に挙げられるのは『自分の生活への影響』だよな。仮に、自宅に住みながらのリフォームであっても、大なり小なり生活に制限が出るだろう。浴室交換のために銭湯に行くことになることを考えると納得が行くだろ?」
「確かに。銭湯も高いですしねぇ。」
「まぁ、銭湯は1つの例でしかない。キッチンが使えなくなって、夕飯がコンビニの弁当ばかりになるのも困ると思う。」
「コンビニ弁当ばかりかぁ。……確かに困るなぁ。」
経済的な影響があるから
「経済的な影響もあるぞ。リフォーム工事の費用の発生要素は主に2つ。『資材費』と『人件費』だ。この内、問題になるのは人件費になるだろうな。人件費は基本的には日数に比例するから、工期が長ければそれだけ掛かる。」
「確かに。1日に1万円の人件費としたら、3日で3万円、5日で5万円発生しますもんね。」
「そうなんだ。コストは誰でも削りたいだろ。だから工期を短くしたがるんだよな。」
【ここでのポイント】
リフォーム工事に工期が重要な理由
●近隣への影響があるから
●生活への影響があるから
●経済的な影響があるから
リフォームは工期を短くするのもリスクが発生し得る
「ところが、工期を短くすることによって発生するリスクってものあるんだ。」
「へ?工期は短ければ良い訳じゃないんですか?」
「そうとも限らないんだ。別のリスクの可能性が出て来る。」
「どんなリスクでしょうか?」
工事の品質が悪くなるリスク
「ケースにもよるだろうが、工事の品質が悪くなることがあり得る。職人の技術にもよるが、時間に追われると仕事が雑になってしまう人は少なくない。」
「まぁ、確かに。」
「厄介なのはそれだけではない。人によっては手抜き工事に走る場合もあるんだ。」
「手抜き工事???例えばどんな工事です?」
「例えば、部材をボルト4本で固定しなければいけない場所を2本で止めるとかね。」
「ボルトを減らすんですか?」
「締める時間が半分で済むから時間が短くて済む。」
「それはヤバいです。」
「他にもあるぞ。塗装を2回塗らなければいけない部分を1回で済ませたりね。」
「危険ですね。」
基本的な性能が出ないリスク
「そして、そのような施工をするならば、本来の性能が出ない場合もあり得る。」
「どんな例があるでしょうか。」
「怖いのは強度不足だろうな。例えば、壁の中に耐震性アップのために合板を使うことがあるけど、その固着方法は決まっている。使う釘とか本数とか、意外に細かく決まっているんだ。」
「それは意外でした。」
「けど、そこを減らしたらどうなるか?……釘を10本使うところを5本で済ませるならば、1本の釘に加わる力は2倍になる。釘の破損のリスクが大きく上がるんだ。」
「怖すぎますね。」
「そうなんだ。しかも、施工してしまうと外からは見えない。手抜き工事を見破ることはすごく困難なんだ。」
【ここでのポイント】
リフォームは工期を短くするのもリスクが発生し得る
●工事の品質が悪くなるリスク
●基本的な性能が出ないリスク
良い状態で工期短縮を図るための手段
「それじゃ、実質的には短納期化はするべきではないってことですか?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。手段はある。」
「教えてください。」
資材調達の早い会社を選ぶ
「リフォーム会社には資材調達の早いところと遅いところがある。その内で早いところを選ぶと良いだろう。」
「会社によって、そんなに時間が違うんですか?」
「結構違うよ。そして、少しの時間差であっても馬鹿にはできないんだ。例えば、『明日の午前中に届けます』と『明日の午後に届けます』だと、3~5時間程度しか時間的には違わないかも知れないが、それが重なってしまうと相当な時間差になる。」
「確かにそうですね。」
「工期が1ヵ月のところで3日違ったらどう思う?10%程度の差とも言えるんだぞ。」
「なるほど、馬鹿にならない。」
メーカーとのコネクションの強い会社を選ぶ
「リフォーム会社によってはメーカーとのコネクションが強いところがある。そんな会社に当たると調達は早くなることがある。」
「どういうことですか?」
「例えば、メーカーが問屋に卸すことになれば、間に会社が1ヶ所入るから、それだけタイムラグのリスクが発生する。しかし、強いところは自前で倉庫を持っていて大量に仕入れるところもある。そういう会社は強い。」
「なるほど」
「あと、メーカーとのコネクションが強いところは特注への対応が良い場合もある。メーカーにとってはコネクションの強いところは上客だ。対応は良くなるさ。」
「いろいろあるんですね。」
物流体制の整ったメーカーのものを選ぶ
「メーカーの物流拠点がモノを言う場合もあるね。メーカーは工場で生産した製品を物流拠点に運ぶことが多いんだけど、それが有利な場所にあれば配送も早い。現場に届くのもスピーディーになる。」
「要は倉庫の問題ですか。」
「そうだね。倉庫とも言えるな。けど、倉庫ってメーカーにとっては重要なんだ。在庫切れで出荷が遅れたらシャレにならんだろ。」
「確かにね。」
施工性の良い製品の検討もおすすめ
「後は施工性の良い製品を選ぶことも必要かな。」
「施工性の良い製品ですか。」
「そう、例えば玄関ドアなんか。ドアの交換をドア枠からするならば大変な工事が必要だ。既存の枠を一旦外して、新たな枠を取り付けなければいけない。」
「まぁ、そうですね。」
「しかし、今はカバー工法が多い。これは既存のドア枠に新規のドア枠をカバーする工法。既存のドア枠を撤去しないから工事が早い。メーカーのカタログを見ると「1日で完了」なんて記載も見当たる。」
「1日ですか。それは早い。」
「2日かかる場合だと、1日だけだったら隣家への挨拶も楽だろ?『夕方には終わりますから』で済むからな。」
「確かにそうですね。」
「ま、参考にしてくれよ。」
【ここでのポイント】
良い状態で工期短縮を図るための手段
●資材調達の早い会社を選ぶ
●メーカーとのコネクションの強い会社を選ぶ
●物流体制の整ったメーカーのものを選ぶ
●施工性の良い製品の検討もおすすめ
後日談:リフォームの工期をレクチャーした後のエピソード
「センパーイ、この間はありがとうございました。工事はすぐに終わりました。お袋がありがとうって言ってましたよ。」
「そうか、それは良かったな。」
「けど、親父が怒っちゃって大変だったらしいです。」
「へ?なんで?お父さんが短納期を望んだんじゃないの?」
「いや、そうなんですけど、家に来た職人がきれいな女子ばかりだったんですよ。親父は機嫌がすごく良くなったんだけど、工事がすぐに終わっちゃったんで……。」
「そうなの???」
「工事が終わったら、女子の職人を呼んで晩飯でも……って考えたらしいんですけど。それがダメになって、それで不機嫌に……。」
……おいおい、困るぜ。
「センパイ、今度は工期を長くするテクニックを教えてください。実家はどこかを壊しますから。」
「知るか!」
教訓:リフォームの工期に関して
ここでは、各パラグラフで取り上げられたポイントをまとめてみたいと思います。
1)リフォーム工事に工期が重要な理由
●近隣への影響があるから
●生活への影響があるから
●経済的な影響があるから
2)リフォームは工期を短くするのもリスクが発生し得る
●工事の品質が悪くなるリスク
●基本的な性能が出ないリスク
3)良い状態で工期短縮を図るための手段
●資材調達の早い会社を選ぶ
●メーカーとのコネクションの強い会社を選ぶ
●物流体制の整ったメーカーのものを選ぶ
●施工性の良い製品の検討もおすすめ
以上がリフォーム工事と工期を考えるポイントです。よりスムーズで高品質な工事をするためにも、どうぞご参考にしてください。
リフォームの工期に関する追加情報
ここでは一応の工期を取り上げます。
ただし、あくまでも「目安」です。
実際にはケースによって異なりますので、業者に確認をしてください。
●キッチン:1週間~3週間程度
●トイレ:1日~5日
●浴室:3日~1週間
●リビング:1日~2週間
●外装:1~4週間
●大規模リフォーム:1ヵ月~3ヵ月
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