【物語の背景】
主人公は東京都内在住の50代の大手建材メーカーの会社員。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
今回は内装のエピソード。近くの家が内装をリノベーションした模様。奥さんが自慢話を聞かされて疲れた様子。何でも、内装がお金をかけた逸品とか。
「あんた、近所の家が内装を変えたって知っているわよね?」
「ああ、それは聞いたな」
「そこで聞いたのが、内装材に凝ってみたって話なのよ。なんでも湿気の多い時期でもジメジメしないとか。」
「へぇ、そりゃいいね。調湿機能のある部屋か。」
「なにそれ?」
「調湿機能か?湿度を調整する建材さ。」
「なんか良さそうね。教えてくれない?」
「ああ、いいよ。」
調湿機能建材とは
「まずは調湿機能についての確認だ。」
「分かったわ。お願い。」
そもそも調湿機能とはなに?
「調湿機能とはさっきも言った通り、湿度を調整する機能のことさ。空気中の水分を吸ったり吐いたりしながら湿度を一定に保つイメージだ。原理としてはいくつかあるが、代表的なのが漆喰や珪藻土のような多孔質のもの。湿度の高い時には空気中の水分を吸い取って穴の中に入れてしまい、湿度の低い時にはそこから水分を吐き出して調整するってことさ。」
「へぇ、なんかすごいわね。快適になりそう。」
調湿機能があるとどうなるか
「次に調湿機能はあると生活環境がどうなるかだが、いろいろなメリットがある。ただ、選ぶとすれば、代表的なのが『カビの抑制』だろうな。」
「カビを抑えることなんて可能なの?」
「だって、カビは水分のあるところに発生するだろ?梅雨時なんかは食品が危険になる。」
「確かに水分は危険ね。」
「しかし、調湿機能のある内装の部屋は湿度が上がり過ぎないため、カビが抑制されて食品も比較的大丈夫なんだ。」
「なるほど、すごい。」
調湿機能のある建材の例
「そんな調湿機能のある内装材は意外に多い。天然素材が目立つかな。」
「天然素材ね。それも良さそう。」
無垢フローリング材
「最初は無垢フローリングだ。天然木は水を吸ったり吐いたりするのが特徴。それは空気中の水分も同じで、余分な水分があれば吸ってしまう。反対に、湿度が低くなると水分を吐き出す。」
「木材だとイメージしやすいわね。」
漆喰の塗り壁
「次に漆喰だ。これは伝統的な建材。日本でも海外でも多く使われている。」
「海外でも?」
「そうエーゲ海あたりの写真を見ると、白い建物がいっぱい建っているだろ。あれが漆喰だ。」
「へぇ、そうなの。」
「国内の場合は城や土蔵の壁なんかだ。」
「それは分かるわ。」
「ところで、漆喰の調湿機能だけど、さっきも言ったが非常に細かい穴がたくさん開いている。その穴の中に水分が入り込んで湿度が調整されるんだ。」
「なるほど。細かい穴がポイントとなりそうね。」
珪藻土の塗り壁
「珪藻土って知ってるか?」
「聞いたことはあるけど、あまり知らないわ。」
「これも意外とポピュラーな素材。細かい穴が開いているのが特徴で、日本では七輪とかに使われたりする。過去にはダイナマイトにも使われたりしたな。」
「そんな素材がなぜ住宅に?」
「これも漆喰みたいに小さな穴が開いているからさ。湿度が高いと水を取り込んで、低いと水を吐き出すのさ。」
「なるほど、納得が行くわ。」
機能性壁紙
「次は壁紙だ。壁紙には様々な機能を持たせたタイプがある。例えば、引っ掻きに強いタイプ、消臭効果を持つタイプなんか。その中に調湿機能を持たせたタイプもあるんだ。」
「へぇ、そんなんだ。」
「イメージとしては、紙オムツなんかに使われている吸水性ポリマーを利用していて、湿度が高まるとポリマーが水分を吸収する感じさ。」
「紙オムツと同じってのがすごいわね。」
調湿石膏ボード
「あとは調湿石膏ボードだな。石膏ボードは内装なんかによく使われるんだが、そこに調湿機能を持たせたタイプがあるんだ。」
「石膏ボードにあるのは意外ね。」
「そうだろうな。内装とは言え石膏ボードは見えない部分だからな。目立たないんだろう。」
【ここでのポイント】
調湿機能のある建材とは
●調湿機能とは湿度を調整する機能
●調湿機能があると、カビなどの抑制に繋がるメリットがある。
●調湿機能のある建材の例
・無垢フローリング材
・漆喰の塗り壁
・珪藻土の塗り壁
・機能性壁紙
・調湿石膏ボード
調湿機能建材にはデメリットがないのか?
「こんな感じで、内装材には調湿機能を持たせたタイプが意外に多い。しかも、それは魅力的だ。ジメジメした不快な空気を整えるんだから、メリットしかないようにも思えるかも知れない。」
「まぁ、確かにそうだわね。」
「しかし、そうばかりとは言えないんだよな。やっぱりデメリットはある。」
初期コストが掛かる
「まず挙げられるのが、コストが掛かる点だろうな。例えば、フロア材であれば、無垢フローリングの方が複合フローリングの方が安いし、漆喰や珪藻土を塗るよりもビニールクロスの方が格段に安い。一軒家の全体を改装するとすれば、相当な費用になるはずだ。」
「確かに値段は違いそうね。」
汚れが付きやすい
「汚れが付着しやすいケースもあるよね。フローリングも天然木はシミが付きやすいし、漆喰も汚れやすい。コーヒーなんかをこぼしたら大変なことになる。」
「確かにそうかもね。」
「漆喰なんかは『上から新たな漆喰を塗ればいい』とも言われるけど、それで完全に治るわけじゃない。塗った跡は意外に分かるもんな。汚れはやっぱりデメリットだよ。」
補修のしにくい物もある
「補修のしにくい物もあるよね。今言った漆喰の他にも、無垢のフロアなんかも削らなきゃ汚れは落ちない。それに対して、他の物は補修が案外簡単だったりする。デメリットだよ。」
機能低下の問題
「調湿機能を持つものも機能が低下する場合もある。簡単に言うと劣化するイメージかな。いずれにせよ、長持ちするにしても限界はあるってことさ。」
「なんか納得行くわ。」
【ここでのポイント】
調湿機能建材のデメリット
●初期コストが掛かる
●汚れが付きやすい
●補修のしにくい物もある
●機能低下の問題
最終的にはどれを選ぶべきか
「んじゃぁさ、結局のところ、どちらを選んだ方が良いの?」
「申し訳ないけど、それは『ケースバイケース』としか言えない。家を建てる人の考える優先順位なんかによっても変わるんだ。例えば、調湿機能のメリットを最大限に撮りたいならば、他のデメリットがあっても調湿機能付きの部屋にしたがるだろう。小さい子供が居て、その子供がアレルギーだったりしたら、カビなんかに神経質になるだろ?そうしたら、調湿を選ぶんじゃないかな?」
「確かに、それは言えるかも。」
【ここでのポイント】
最終的な選択はケースバイケース。個人のメリット・デメリットによって考えるべき。
後日談:調湿機能のある内装材の話を終えた後のエピソード
「ちょっと、あんた、この間の家がなんか大変だったみたいよ。」
「どうしたんだ?」
「あの家、犬を親類から預かったんだって。そうしたら、犬が漆喰壁におしっこをしちゃって、ちょっとした参事だったみたい。」
「そりゃ大変だったな。けど、まあ……」
「なにが『まあ』なのよ?」
「漆喰は消臭機能もあるからいいんじゃない?少し黄色いかもだけど、デザインだと思えばいいだろ。」
「………いいのかなぁ。」
おそまつ。
教訓:調湿機能のある建材に関して
ここまで調湿機能付き建材について取り上げました。
ここでは各パラグラフをまとめたいと思います。
1)調湿機能建材とは
●調湿機能建材とは湿度を調整する機能を持つ建材
●調湿機能建材があると、カビなどの抑制に繋がるメリットがある。
●調湿機能のある建材の例
・無垢フローリング材
・漆喰の塗り壁
・珪藻土の塗り壁
・機能性壁紙
・調湿石膏ボード
2)調湿機能建材のデメリット
●初期コストが掛かる
●汚れが付きやすい
●補修のしにくい物もある
●機能低下の問題
3)選択のポイント
最終的な選択はケースバイケース。個人のメリット・デメリットによって考えるべき。
調湿機能に関する追加情報
調湿建材には登録・表示制度がありますので、自宅に導入する場合には参考になります。
これは、一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会による制度で、調湿建材に客観的な評価を行い、一定以上の性能を持つ製品に「調湿建材認定マーク」を表示するものです。
建材選定の上で役立つでしょう。
参考資料
出典
一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会 調湿建材登録・表示制度
https://www.kensankyo.org/nintei/tyousitu/tyousitu_top.html
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