【物語の背景】
主人公は東京都内在住の50代の大手建材メーカーの会社員。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
今回は宮城県の妻の実家でのトラブル。滑りやすくしてしまったとか……。
「あんた、実家からSOSが来ているわよ。」
……なんだ、またか。宮城県への休日出張はいい加減に飽きたぞ。
「どうしたんだ?今度は」
「なんか、床にシリコンスプレーを吹き付けたらしいの。『きれいになる』って言われてさ。」
「シリコンはマズいだろ。場合によってはツルツルに滑るようになる。」
「そうなのよ。だから助けてって。」
……まいったね。お決まりのパターンだ。
「私からもお願いするわ。1泊くらい温泉に行ってもいいからお願い。」
なるほど、温泉か。それならば悪くない。1回食ってみたいメニューがあったんだ。
「いいよ。行ってみるよ。」
「あら、温泉になると即答ね。」
「そりゃそうだろ。食ってみたいメニューもあるし。」
「何なの?それ」
「通風鍋ってヤツ。」
かくして、宮城県の嫁さんの実家に行ってみることになった。
防滑の効果は?
「こんにちは」
「おお、よく来てくれた。助かるよ。」
「お義母さん、フローリングにシリコンを塗ったんですって?」
「まぁ、これは失敗だったね。気を付けないと危なくって。」
「そうだと思います。けど、安心してください。何とかしてみます。ただ、効果や対処について少し説明した方が良いと思うので、付き合ってくださいな。」
「それくらい大丈夫。こっちこそ教えて欲しいよ。」
高齢者の転倒防止
「効果として挙げたいのは、まずは『高齢者の転倒防止』です。お義母さんも危険を感じたように、ツルツル過ぎる床は危険です。やはり防滑は欲しいところです。
ただ、闇雲に処理をするべきではありません。状況によって手段を変えた方が良い場合もあります。」
「なるほど、やっぱりそうだわね。」
子供が走り回っても安心
「それから、子供が走りまわっても安心になりますよね。転んじゃうと何が起きるか分からないから。」
「確かにね。」
「実際、ウチの子の一人は廊下で走りまわって転んでしまって、頭を尖ったところにぶつけてケガをしました。そういう事態を考えると防滑は必須と思えてしまいます。」
ペットの健康のため
「ペットの飼育のためにも有効です。」
「へ?ペット?」
「そう。例えば犬の場合、足で床面をグリップしながら歩くイメージになるんですが、床面がツルツルになってしまうとグリップが難しくなるんですよ。そうすると腰の部分に余計な力が加わってしまい、身体を痛めることにもなるらしいんです。」
「なるほど、腰痛はきつい。ペットにとっても有意義っていうのも分かるわ。」
【ここでのポイント】
防滑の効果は?
●高齢者の転倒防止
●子供が走りまわっても安心
●ペットの健康のため
防滑処理の手段
「それじゃ、次に防滑の具体的な主題を紹介しますね。」
ワックス
「最初に挙げられるのがワックスでしょうね。ワックスは滑りやすくなるイメージがあるものですが、逆に滑りにくくなるタイプもあります。ペット用に売っていることもありますね。」
「ペット用ね。意外だわ。」
「けど、ペット用のワックスって他のメリットもあるんですよ。」
「他にどんなメリットがあるんだい?」
「汚れが付着しにくいタイプがあるんですよ。ペットが室内でおしっこをした時に拭き取りやすいイメージです。」
「なるほどね。」
ウレタン系コーティング
「次にウレタン系コーティング。こちらは塗装になりますね。ワックスよりも強くて長持ちしますよ。そして、施工は業者が行うので、お義母さんが動く必要はありません。」
「なるほど。それもいいね。」
「フロア全体になると、家具を動かしたりするのが大変でしょう。それを業者に任せられるのもメリットとも言えますもんね。」
ガラス系コーティング
「ガラスコーティングって手段もあります。こちらはフローリングの表面に強度の高いガラス系の被膜を作るというもの。単に滑らないだけでなく、傷付きなんかに非常に強いですね。」
「強いのもいいわね。」
「例えば、ダイニングの椅子を引きずったりすると床材を痛めますが、ガラスコーティングならば、そのリスクの低減が可能でしょうね。」
物理的な手段
「あと、物理的な手段もあります。例えば、表面をザラザラにする加工なんか。工場で製造する時に着けてあるものです。」
「けど、それはどうやって床に付けるのかい?」
「リフォーム工事なんかで可能でしょうね。例えば、バリアフリーに特化した住宅なんかの場合、フローリングだけじゃなくて廊下なんかもこの床材で仕上げれば、安全性の高い家が出来ます。」
「なるほど。」
【ここでのポイント】
防滑処理の手段は?
●ワックス
●ウレタン系コーティング
●ガラス系コーティング
●物理的な手段
防滑処理の注意点
「けど、防滑処理にも注意点はあります。大事なことなので忘れないでくださいね。」
「なんだろ?注意点って。」
ワックスは定期的に塗らなければいけない
「まずは、当然な話なんですが、ワックスの処理の場合には、定期的に塗りなおさなければいけないってことなんです。」
「そんなのは当たり前でしょ。」
「まぁ、当たり前なんですが、やはり部屋全体に塗るのは骨が折れますんで。」
「確かに、そうだわね。」
剥がすのが困難なものもある
「また、処理によっては処理した部分を剥がすことが必要になる場合もあるかも知れません。その時は厄介ですよね。」
「確かに厄介だけど、剥がすことなんかあるの?」
「経年劣化なんかで表面が古びてしまった場合なんかがあるかも知れません。まぁ、そこいら辺は個人の好みにもよるでしょうが。」
光沢が変わるものもある
「フローリング材は見た目が重要ですね。」
「そりゃそうだろう」
「それじゃ、塗った後で床面の光沢が変わったらどうでしょうか?」
「雰囲気まで変わったら困るね。」
「その部分が注意点でもあるんです。透明だと思って塗ったら光沢が気に入らなかったとか。なかなか塗った後までイメージ出来ませんから、厄介な問題なんです。」
【ここでのポイント】
防滑処理の注意点とは
●ワックスは定期的に塗らなければいけない
●剥がすのが困難なものもある
●光沢が変わるものもある
おすすめの施工
「防滑の処理のアウトラインはそんなところですが、ここで『ちょっとおすすめの施工』を紹介しますね。」
「なんか面白そうだわね。」
複数の効果を狙う
「防滑処理には『滑りにくい』という効果だけでなく、別の効果を持つものもあるんです。良い例がペットのための『汚れの付着のしにくさ』という点。食卓から何かを落とした時でも慌てる必要はないでしょう。フローリング材の中には汚れに対してシビアな対応をしなければいけないものもありますが、この防滑処理によって弱点の克服も可能となります。」
「一石二鳥ってわけね。」
ペットの飼育のために
「その一石二鳥をペットの飼育に利用するのが一番なのは、やっぱりペットの飼育用だと思います。ペットは汚すだけでなく、ツメなんかで引っ掻きますから、傷付きに強い処理をすれば良いと思うんです。」
「なるほど、賢いわね。」
【ここでのポイント】
ちょっとおすすめの施工
●複数の効果を狙う
●ペットの飼育のために
「それじゃ、この家の処理はどうしましょうか?」
「ワックスは塗りなおしが大変だから、業者を頼むことにするよ。」
「ところで、今日はどうするんだい?帰るのかい?」
「いや、温泉にでも行って、美味いものでも食おうと思ってます。『通風鍋』ってのが美味いって聞いてましたんで。」
「……あれはやめた方がいいよ。」
後日談
……今、自分は人生初の窮地に立たされているかも知れない。
……いや、物理的にも立てないかも知れない。
……通風がこんなに痛いってのは聞いて無かったぞ!
……そうなのである。あの鍋で通風のダイレクトアタックを足に食らってしまったのである。立てないくらいに痛い。
「あんた、トイレくらいは自分で行ってね!」
……まぁ、トイレくらい行くさ。通風で起きれなくてシビンを持って来させたら末代までの恥だ。
……しかしだ、痛いなぁ。
おそまつ
教訓:防滑について
ここでは防滑の重要性と主な具体的な手段を取り上げた。高齢化が進んでいる社会にとっては、避けて通れないことと思う。
さて、ここでは前述のポイントを復習したいと思う。
1)防滑の効果
●高齢者の転倒防止
●子供が走りまわっても安心
●ペットの健康のため
2)防滑処理の手段
●ワックス
●ウレタン系コーティング
●ガラス系コーティング
●物理的な手段
3)防滑処理の注意点
●ワックスは定期的に塗らなければいけない
●剥がすのが困難なものもある
●光沢が変わるものもある
4)ちょっとおすすめの施工
●複数の効果を狙う
●ペットの飼育のために
ちなみに、ここで挙げた手段の他にも多くの防滑手段が登場している。家によって「合う・合わない」があるので、それぞれが自宅に合ったものを選択し、より良い家づくりをして欲しい。
防滑についての追加情報
お年寄りが増える中で、防滑は一層重要になることでしょう。また、現状の中古住宅の状況から考えると、リフォームの防滑仕様が活発になるかも知れません。
ところで、防滑処理においては様々なところで注目されています。例えば、一般社団法人 防滑適正推進協会はCSR(床材の滑り性試験によって測定される滑り抵抗係数)という数値を用いて、防滑性の目安を作っています。
そして、これから家づくりをする人においても、防滑はぜひとも考えて欲しく思います。
人はいずれ老いるものです。活発に動ける内の将来への布陣を考えておくべきではないでしょうか。
参考資料
出典
一般社団法人 防滑適正推進協会 C.S.R測定
https://boukatsu.org/csr/
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