築50年の住宅と主人公の対決!リフォームで耐震性はホントに上がるのか?耐震・免振・制振を再確認!

築50年クラスの住宅の写真。耐震性に疑問が残るイメージを表現しています。 リフォーム
【書いた人】
●名前:「主人公」 年齢50代
●キャリア:大手建材メーカーに30年の間、エンジニアとして勤務。
●主に住宅建材開発及び材料・製品の試験業務を担当。
●仕事の内容は商品企画から設計、試験、クレーム対応など、商品に関するあらゆる件に対応。
●住宅建材の発明者としての特許あり。
●ブログを書く目的:30年を通して培ったノウハウを元に、「良い家づくり」を広めること。AIでは経験し得ない「生の一次情報」を元に、「分かりやすい内容」で情報提供をしたいと考えた。
●「より良い家づくりのお手伝い」がモットー。

【物語の背景】
主人公は東京都内の50代の建材メーカー勤務のサラリーマン。家族は妻と子供2人。今回登場するのは妻の実母にあたる人。宮城県在住であるが、東北地方を転々としたらしく、言葉はごちゃ混ぜ。住んでいる家は築50年クラスだとか。
ここでは築50年の家の耐震性が話題になり、なんとかしろとの嫁さんの命令を受けた。

ある日のこと、嫁さんにお義母さんから電話が掛かって来た。どうやら実家に危険性を感じたらしく、嫁さんに相談をして来たらしい。どうも家の耐震性の話のように聞こえる。

「あんたの旦那さん、建材のプロってことじゃない。住宅も似たようなもんでしょ。見てけろや。」

「母ちゃん、家と言っても築50年の家でしょ?もうダメなんじゃないの?」

「馬鹿コケ!この家は爺さんと建てた家だ。簡単に壊してたまるか!」

「んじゃ、分かったわ。少し話してみる。」

電話での会話は次第にヒートアップして来たため、自分にも何を話していたかが分かった。なるほど、築50年の家の耐震性か。それならばリモート会議を使えば説明が簡単だ。

「まぁまぁ、自分がお義母さんに説明するよ。耐震性だろ?」

「そうなのよ。母ちゃんが興奮しちゃって話にならないのよ。」

「まぁ、いいさ。お義母さんにはリモート会議のシステムを使えば話せるよ」

「けど、母ちゃんは固定電話でかけて来たよ。なんか携帯が使えないらしくて……」

……まいった。また宮城県まで休日出張か。せっかくの休みがパァだ。……そんなこんなで宮城県の嫁さんの実家に向かう羽目になった。

耐震基準とはなにか?耐震・免振・制振とはなにか?

さて、嫁さんの実家に着いた訳なんだが、お義母さんは開口一番に

「あー、よく来たね。いやいや、最近は地震が多いじゃろ。この家も古いから大丈夫かな?と思ったっちゃ。」

「なるほど、50年でしたね。それじゃ不安でしょう。」

「そうなんじゃよ。この家は宮城県沖地震に耐えたんだけど、最近の様子を見ると物騒でな。

ふむふむ、なるほど、宮城県沖地震を耐えたか。

耐震基準って時代で変わる?変わるタイミングは?

「なるほど、宮城県沖地震を耐えたんですね。そりゃ強いや。」

「あら、あの地震を知ってるか?」

「宮城県沖地震は1978年でマグニチュード7.4、震度5のレベルですね。被害として目立ったのがブロック塀の倒壊による事故だとか。」

「よく知ってるね。」

「実は耐震基準って変わって来ているんですよ。大きな改定は1981年と2000年に行われました。大地震の後に変わるイメージですね。」

「んじゃ、築50年のこの家は危ないってことかい?」

「実はそうなんです」

……その場の空気が固まった。お義母さんが危機感を持った様子である。まぁ、無理もないだろう。デカい地震が来たら相当にヤバいからだ。もしかしたら、家から逃げ出せない状況にあったのかも知れない。うん、そうしたらトラウマものだ。

「何とかならんかね?」

「何とかなりますとも。大丈夫です。」

お義母さんは落ち着いた様子だった。

耐震基準は「耐震」・「免振」・「制振」の3種類、その違いとは点?

さて、お義母さんに耐震基準について説明しなきゃ。

「さっき言いましたが、耐震基準って2回変わってるんです。一般には、最初の耐震基準を『旧耐震』、その次の耐震基準を『新耐震』、そして最後のヤツが『2000年基準』って呼ばれます。」

「なんだ、そんなにあるんか。それってどう違うんだ?」

「それは次の表を見てください。」

自分は持参したタブレット端末を開き、耐震基準の解説サイトを見せた。そのサイトにはこんな表が載っていた。

区分基準の内容
旧耐震・震度5程度の中地震で倒壊・崩壊しない
・震度6強程度の大地震は規定なし
新耐震・震度5程度の中地震で軽微なひび割れ程度にとどまること
・震度6強程度の大地震でも倒壊・崩壊しないこと
2000年基準・新耐震基準を更に強化
・壁と窓のバランスの規定
・接合金物の標準化
・床の剛性も求められる……など

「あらら、これじゃ50年前の家は震度6じゃ壊れる可能性があるってことかい?」

「建物によっては高い強度のケースもあるんで一概には言えませんが、高い基準に準じて建ててはいないので、危険性は残りますね。」

「なるほどなぁ。」

耐震構造ってどんな構造?ホントに大丈夫なの?

「ところで、この家を地震に強くするためにはどんな方法があるんだい?」

「そこで説明したいんですけど、そのためには3つの耐震について紹介しますね。『耐震構造』『免振構造』『制振構造』の3つです。」

「それってどう違うんだ?」

「それはこれを見てください。」

自分はさっきのタブレット端末でお義母さんに耐震技術のページを見せた。

そこには次のような表があった。内容は耐震に関するもの。

区分特徴
耐震構造・構造強度をアップさせて耐震性を上げるもの。
・地震が来ると建物全体が揺れるため、家財が倒れる危険性がある。
免振構造・基礎部分に特殊なゴムダンパーを設置し、その部分で地震の振動を吸収するもの。
・マンションなどでの採用が多い。
制振構造・ダンパーと呼ばれる部材を構造部分に設置して振動を吸収するもの。
・揺れそのものを低減できるので、家財の倒壊リスクは抑えられる。

「耐震構造って言ってもこんなにあるんだね。」

「そう、こんなにあるんです。古い家の場合は状況に合わせて手段が選ばれます。」

【ここでのポイント】
●耐震基準は時代と共に変わって来た
●耐震基準は「旧耐震」「新耐震」「2000年基準」の3つがある。
●耐震には「耐震構造」「免振構造」「制振構造」の3つがある。

耐震リフォームは築50年の家でも大丈夫になるの?

「ところで、ウチは築50年だ。ホントにリフォームで大丈夫なのかい?」

「さっきも言ったように大丈夫です。補強をすれば良い訳ですから。」

「なるほど、補強かぁ。」

「ただ、宮城県沖地震の時は逃げられないとも思ったんだよ。建物に閉じ込められそうになってね。避難についても教えて欲しいよ。」

「分かりました。」

築50年住宅であっても耐震補強は可能

「まずは建物から。

古い住宅であっても耐震補強は可能です。実際、築50年クラスの古い家であっても耐震リフォームをした事例はたくさんあります。」

自分はタブレット端末でリフォーム会社のサイトを見せた。築50年クラスのリノベーションの事例がゴロゴロあった。そのどれもが「耐震性に不安があったのでリノベーションをした」との文言があった。

そして、自分はもう1つ付け足した。

「屋根を軽くすると耐震性がアップしますよ。瓦屋根からガルバリウム鋼板屋根に変える、とかね。」

「へぇ、大丈夫みたいだねぇ。分かったよ。

けど、扉はどうなんだい?建物が大丈夫でもドアが開かなくなったら大変だよ。」

「それに関しても対応しています。ドアも耐震試験をしているんです。」

「なるほど、それならば安心だ。」

お義母さんは納得した模様。めでたしめでたし。

ホームインスペクションで耐震性の診断が可能

「けど、建物を補強するにしても、今の状態を知らなければいけないんじゃないの?」

「確かにそうですけど、リフォーム業者は住宅のプロ集団。大丈夫ですよ。……けど、不安ならばホームインスペクションを受けるといいですよ。」

「なんだい?そのホームインスペクションって」

「ホームインスペクションは簡単に言うと住宅診断。建築のプロが住宅の隅々までチェックするってものです。賃貸不動産の内覧なんかだと建物の外観と内装くらいしかチェックしませんが、彼らは天井裏や床下に潜ってチェックします。

そのため、普段だったら見つけにくいシロアリ被害なんかも確認可能になるんですよ。」

「へぇ、すごいんだねぇ」

「いずれにしても、リフォーム会社に話せば大丈夫です。自分がよく知っているリフォーム会社があるから、連絡するといいですよ。」

自分はタブレットでそのリフォーム会社のサイトを開き、スクショを見せた。

【ここでのポイント】
●耐震補強は可能
●ホームインスペクションでのチェックがおすすめ

後日談:耐震リフォームのレクチャーの後でのエピソード

さて、お義母さんの家から帰って来て一週間が過ぎた。先週の休みはお義母さんの家に行って1日潰れた。やっと休める。

そんなこんなで帰宅したのだが、中から嫁さんが子供を叱りつけている様子。いつもよりも感情的になっているらしく、怒鳴り声がデカい。

「実家から電話があって、牡蠣やらアワビやらを送ってくれたんだって。」

「お、いいね。本場の海の幸だ。」

「けど、子供たちが宅配便の送り状の手続きを忘れていたのよ。それで時間が経ちすぎてダメになってしまったのよ。」

なにお???せっかくの海の幸が台無しだと?……なんてことだ。

しかし、見ると、子供たちはしょんぼりしている。これ以上は怒れない。

……せっかくの海の幸がぁぁぁ。……今夜のビールは涙の味がしそうだ。うぅぅぅ……。

教訓:住宅の耐震性に関して

ここまで住宅の耐震について述べて来た。各パラグラフの復習をしよう。以下はその内容だ。

  • 耐震基準は時代と共に変わって来た。
  • 耐震基準は3つある。
区分基準の内容
旧耐震・震度5程度の中地震で倒壊・崩壊しない
・震度6強程度の大地震は規定なし
新耐震・震度5程度の中地震で軽微なひび割れ程度にとどまること
・震度6強程度の大地震でも倒壊・崩壊しないこと
2000年基準・新耐震基準を更に強化
・壁と窓のバランスの規定
・接合金物の標準化
・床の剛性も求められる……など
  • 耐震構造は3つある。
区分特徴
耐震構造・構造強度をアップさせて耐震性を上げるもの。
・地震が来ると建物全体が揺れるため、家財が倒れる危険性がある。
免振構造・基礎部分に特殊なゴムダンパーを設置し、その部分で地震の振動を吸収するもの。
・マンションなどでの採用が多い。
制振構造・ダンパーと呼ばれる部材を構造部分に設置して振動を吸収するもの。
・揺れそのものを低減できるので、家財の倒壊リスクは抑えられる。
  • 築50年であっても耐震補強は可能
  • ホームインスペクションで診断ができる

住宅は築年数が経ったとしても、適切なメンテナンスを加えれば、まだまだ住めることが少なくない。むしろ、リフォームしながら住むならば、環境問題の貢献にも繋がるだろう。

ともかくとして、より良い家に住むことは生活レベルの向上に繋がるのは間違いない。しかし、それは必ずしも新築が条件ではないだろう。もしも古い家を受け継いだのであれば、リフォームをして使ってみるのはどうだろうか?

住宅の耐震性に関する追加情報

地震は建築物の倒壊や崩壊などばかりが取り上げられがちです。

しかし、建材レベルでも大きな影響を受けます。

例えばドア。物語で述べたように、建物がゆがんでしまうと、ドア枠までがゆがんでしまいます。

しかし、今ではドアも耐震試験を行って品質確認をしています。

ドアの耐震性はどのようにチェックするかと言うと、JIS A1532(建具の面内変形性試験方法)での確認が一般的。これは、ドア枠を平行四辺形に歪ませて、それでも問題なく開くかをチェックする試験です。地震で発生したドア枠であっても開閉し、避難が可能かの確認試験と言えます。

ちなみに、これは2023年には経済産業省からも文書が出ているので確認をして欲しく思います。

参考資料

出典:経済産業省「窓、ドアの耐震性能等に関する試験方法の JIS を制定」(2023)
https://www.meti.go.jp/press/2023/07/20230720003/20230720003-b.pdf

(最終閲覧日:2026年1月31日)

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