【物語の背景】
主人公は東京都内在住の50代の大手建材メーカーの会社員。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
そんな中、奥さんは何やら不動産広告を見つけた模様。何でも安い土地が見つかったとか。……どうする主人公?
「あんた!これ見た?」
……うるせえなあ。新聞広告なんか見るわけないだろ。
「あんた!土地が安いんだよ!」
……安い土地なんか理由があるんだよ。
「いい加減に聞いてちょうだい!!!」
やれやれ、ヒートアップしやがった。このままでは晩飯のオカズが減る。少し聞いてみようか。
「なにがあった?」
「とにかく土地が安いのよ。『お得な掘り出し物!』って書いてあるわよ。」
「どれどれ?……旗竿地か。納得した。」
「なにそれ?」
「ま、聞きなさい。説明する。」
そもそも旗竿地とは?
「まずは『旗竿地』って言葉だけど、『旗』は分かるだろ?国旗掲揚じゃないけどさ。」
「もちろん分かるわ」
「んじゃ、この土地の形を見てくれよ。ちょうど旗のような形だ。だから旗竿地」
「意外と単純ねぇ。」
「複雑な呼び方よりも、これくらい単純な呼び方の方がマシだろ。けど、この旗竿地は普通の土地にない特徴がある。購入には注意が必要だ。」
「そんなに危険なの?」
「ま、メリットとデメリットはあるさ。まずは魅力から取り上げて、その次に注意点を説明するぞ。」

旗竿地の魅力
「まずは旗竿地のメリットから話そう。旗竿地にはこんな魅力がある。」
価格が安くなりやすい
「まずは価格が安くなりやすい点が魅力だ。ケースにもよるが、1~2割程度安いとも聞く。土地は日当たりや利便性にもよるだろうから、実際にはもっと安いかもな。」
「なんでそんなに安いんでしょ?」
「これはデメリットかも知れんのだけど、やはり人気がないからじゃないかな?狭小地の旗竿地だと家を建てるのも苦労するもんな。あと、工事にも制限が出やすい。デメリットを大きく感じる人が多いんだろうよ。」
比較的静か
「旗竿地は比較的静かなケースが多い。」
「なんで?」
「周囲に家屋があった場合なんかだけど、車の音が聞こえにくい。周囲の家が道路から来る音を防いでくれるからなんだろ。防音壁みたいな役割をしてくれるイメージだよね。」
道路から家屋が見えにくい
「道路から家屋が見えにくいのもメリットだろうな。」
「なんでまた?」
「プライバシーが保護されるからだよ。例えば、道路沿いの土地のオープン外構の家なんかはプライバシーが無いようにも思えるもんな。下手すりゃ外から家の中まで丸見えだ。」
「確かにね。」
「その点、旗竿地は奥に家屋があるから、道路からは見えにくい。プライバシーが守られるよね。」
通路部分の活用が可能
「通路部分の活用も可能だ。都市部の旗竿地で見られるのが、通路部分を駐車場に使っているケース。土地は建ぺい率の都合から空けなきゃならない部分があるけど、旗竿地の場合は、この開いた部分を駐車場として活用できる。駐車場が取りにくい地域だと助かるよな。」
「確かに駐車場にもなるわね。」
フリースペースができる
「この通路部分は駐車場だけが活用方法ではない。フリースペースとして面白い使い方もできる。例えば、子供の遊び場だ。遊び場が少ない地域は少なくない。そんな時に、この通路部分は役立つだろ。あと、ガーデニングなんかもいいかもね。プランターをズラリと並べれば気分の良い空間にもなるだろう。」
「ガーデニングかぁ。良いわね。」
旗竿地の注意点
「そうは言っても、旗竿地だって弱点はある。検討する時には注意が必要なんだ。」
「なんなの?注意点って」
「それを今から説明する。」
売りにくい
「まずは『売りにくい』のが弱点だよな。」
「なんで?」
「車の出し入れとか日当たりの問題なんかも絡んで、人気がない場合が多いから。さっき『値段が安い』ってメリットを言ったけど、それを逆に言えば『価格が安いのは売りにくいから』とも言えるよな。」
「確かに、売りにくいと値段は下げるわよね。」
車の出し入れが大変
「車の出し入れも結構大変だ。通路部分が細かったりするのもあるんだけど、出たところに看板なんかがあると更に大変な場合もある。」
「そうだわねぇ。」
「ちなみに、車の出し入れが悪いってことは、他の車も入りにくいってことになる。例えば、外構をリフォームしようとしても、通路が細いと重機が入りにくい……なんて弊害も出るんだ。」
「それも困るわね。」
日当たりが悪くなる場合もある
「旗竿地は日当たりが悪くなる場合があるな。特に1階の部分。」
「それは分かるわ。周囲が2階建てで囲まれたら日当たりが悪くなるもんね。」
「そうなんだ。しかも旗竿地は通路部分しか開いていないケースも多い。そのため、日当たりが良くなる時間が極めて短くなり得るんだ。」
空気がよどみやすい
「旗竿地は風通しが悪くなりやすい。だから、空気もよどみやすくもなる。」
「それも気分が悪くなるわね。」
「そうなんだ。空気がよどむとジメジメしやすくなるし、カビなんかのリスクも出て来る。しかも、ジメジメした場所はシロアリが活発になりやすい。」
「シロアリは困るわね。」
家屋に制限が発生しやすい
「家屋に制限が発生する場合もあるな。」
「できない家もあるってこと?」
「例えば、『ウッドデッキを設置して日光浴を楽しみたい』って人、状況にもよるけど、ウッドデッキなんか設置できたもんじゃない……。って思うかも知れないよ。」
「確かに制限はあるわね。」
購入する際のチェックリスト
「メリット・デメリットはそんな感じだけど、やはり欲しがる人がいるわけだ。ただ、買うにしてもチェックは必要で、それを検討しながらでないと大損することもある。注意点はケースバイケースだから一概には言えないが、それでも共通する件はある。それをここで挙げておくぞ。」
●接道幅(2m以上必要。自治体に確認すること。)
●接道が公道か私道か
●日当たり
●車両の進入は無理ないか
●駐車のしやすさ
●水道などのライフライン
●防犯性
●近隣トラブルの可能性
ちなみに、接道幅は特に要注意。国土交通省から「接道規制のあり方について」って資料がある。それを元にして役所への確認が必要だろうな。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001894185.pdf
おすすめの人とおすすめしない人
「ここで、旗竿地がおすすめできる人と難しい人をまとめておこうか。おすすめできる人は次の通りだ。」
●価格重視の人
●子供の遊び場が欲しい人(通路部分が遊び場に使える)
●ガーデニングを楽しみたい人
「逆に、おすすめできない人は次の通りだろうな。」
●大きな車を持つ人
●日当たりの良い家を持ちたい人
●ウッドデッキやタイルデッキを付けたい人(日照の問題)
「まぁ、自分が思うに、こんなもんかと思うけど、土地はケースバイケースだもんな。最終的には、その人の判断だろ。
後日談:旗竿地を検討した後のエピソード
「あの土地、やっぱり買うのをやめるわ。」
「あれ?どうした?」
「いや、周囲の環境がね、良くないのよ。」
「と言うと?」
「周囲に音大生が多くて、楽器の練習をしているのね。」
「まぁ、それはありそうな話だな。」
「けど、イヤなのは、下手な人がいるらしいのよ……。」
「それは少し困る。夢にまで出るって人も居るらしいもんな。」
「だから、その話はナシね。」
……珍しく簡単に引き下がったな。どういうことだ?
そんな疑問を持ちながらだったが、ある日のこと、それが分かった。
どうやら、嫁さんがその音大生に楽器演奏を習っていたとのこと。そして、下手な楽器演奏ってのが、嫁さんの練習ってことだった。こりゃ、嫁さんも諦めるだろ。
……かくして、嫁さんの土地購入計画はご破算になった。
おそまつ。
旗竿地に関する追加情報
旗竿地に関して取り上げましたが、一番の問題は「接道」ではないかと思います。というのも、やはり再建築不可になる土地はデメリットが多いからです。」
例えば、仮に土地を買ったとして建物がダメになって取り壊した時には良くない状況となるからです。土地は買い手がつかなくなるリスクがありますし、土地を遊ばせておいても税金はしっかり取られるからです。しかも、家屋が老朽化すると、近隣に迷惑を掛けることにもなり得ます。
まぁ、物語の中でも述べたように、最終的には買い手の判断ですが、要注意ってっことでお願いします。
参考資料
出典
国土交通省 住宅局 市街地建築課 接道規制のあり方について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001894185.pdf
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