【物語の背景】
主人公は東京都内在住の50代の大手建材メーカーの会社員。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
最近、マンション住まいの会社の後輩に相談された模様。なんでも下の階から「うるさい!」と言われたとか……。
「センパイ、困ったことになっちゃいましたよ。マンションの下の階から『うるさい!』ってクレームが来ちゃって。」
「どうせ友達と大騒ぎしたんだろ。静かにすりゃいい。」
「いや、下の階に引っ越して来た人、神経質らしいんですよ。だから『うるさい』って言われているんです。」
「そりゃ困るな。静かにしても、足音だけで怒られそうだ。」
「そうなんですよ。なんか対策はありますかね?」
「あるよ。カネが掛かるけど。」
「とりあえず教えてください。」
マンションの下の階への防音対策は?
「んじゃ、防音対策を説明する。」
「はい。」
防音床リフォームがおすすめ
「結論から言おう。防音床へのリフォームが良いぞ。」
「え?床のリフォームですか?」
「防音効果が一番期待できるのは床のリフォームだ。」
「けど、床材を交換したって効果があるんですかね?」
「いや、床材の交換ではない。床の『構造』を変えるんだ。」
「構造???」
「そうだ。防音床は床材にゴム付きの足が付いていて、その足で立たせる。そうすると、床から伝わる振動を下に伝えないから、高い防音効果が期待できるんだ。」
「なんか分かったような分からないような……」
「そうだな、それじゃ音の伝わり方でも復習するか。」
音の伝わり方について
「んじゃ、そもそも『音』って何か知っているか?」
「まぁ、空気の振動ってことは知っています。」
「んじゃ、上の階の足音は聞こえるのに、会話は聞こえないってことはないか?」
「あ、確かに。クレームも『足音がうるさい』とかですもんね。」
「だろ?と言うことは、床から伝わる音は空気を伝わる音とは違うんだよ。」
「んじゃ、どこを伝わるんです?」
「固体だよ。上のドタドタした足音は、マンションの部材を伝わって下の階に届くんだ。これを『固体音』と呼ぶ。ちなみに、会話なんかは空気を伝わるんで『空気音』と呼ばれる。」
「へぇ、少し難しいですね。」
防音床で静かになる仕組み
「んじゃ、次に防音床の構造だ。代表的な構造には、次の絵のようなタイプがある。床が二重になっていて、上の床と下の床の間にゴムが付いた足があるヤツ。」
「意外に簡単な構造なんですね。単にゴムが挟まっているイメージだ。」
「けど、そのゴムが大切だ。ゴムがクッションになって、音の伝わり方を弱めるからな。」
「あ、そうか。」
「そう、今言ったように、上の階から伝わる音は固体音。だから、間に挟んだゴムで固体音の伝わりを抑える。だから防音効果があるんだ。」
「なるほど、納得。」

【ここでのポイント】
マンションの下の階への防音対策は防音床へのリフォームがおすすめ。
防音床リフォームの注意点
「なるほど、防音床の構造は分かりました。結構簡単なリフォームになりそうですね。」
「構造は簡単に見えるけど、意外にノウハウあるからな。舐めていると痛い目を見るぞ。工事にあたっての注意点はいくつかある。」
誰でもできるリフォームではない
「防音リフォームは他のリフォームと違って『防音性』との両立が必要だ。だから、音に対する専門知識も不可欠となる。」
「例えばどんな?」
「そうだな。防音効果を高めるために、床下にグラスウールなんかを敷くことがある。そういう細かいノウハウは意外に知らない人も多い。」
「グラスウールですか?」
「グラスウールは空気音の防音にも効果があるぞ。会話に内容が漏れないからプライバシーも守られる。」
「なるほど、細かいノウハウですね。」
完全に音が無くなるわけではない
「それから誤解が多いんだが、防音リフォームをしたと言っても、『完全に音が消える』ということではないんだ。あくまでも騒音のレベルが小さくなるって考えるべきだ。」
「それじゃ、効果としては少し寂しいなぁ。」
「いや、それでも効果はある。例えば、上の階に子供が居て、大きな子供が走りまわっていたら、ドタドタ音がうるさいだろ?」
「そうでしょうねぇ」
「しかし、その子供のドタドタが小さければ、体が小さいだけに音は小さい。」
「はい。」
「つまり、大きな騒々しい子供から、小さな子供になるイメージ……とでも思えば良いんじゃないかな。」
「なるほど、納得しておきます。」
扉などとの干渉もあり得る
「床に防音材を入れると性能のアップが図れるだろ。厚い防音材を入れれば効果が大きい。けど、その場合は床が厚くなって段差が出る可能性もある。」
「どうなるんです?厚いと。」
「扉との干渉なんかがあり得るかもね。扉の調整も必要にもなり得るんだ。」
「そうですか……。」
【ここでのポイント】
防音床リフォームの注意点
●誰でもできるリフォームではない
●完全に音が無くなるわけではない
●扉などとの干渉もあり得る
DIYで可能なんじゃねーか?
「ところで、床の構造は分かりましたけど、このレベルであればDIYでも工事できるんじゃないですか?」
「さっきも言ったけど、おすすめしないよ。」
「けど、工事費も掛かるし、DIYで何とかしてみますよ。」
後日談:防音床リフォームを説明してからのエピソード
「センパイ。何とか工事を終わりましたよ。完全にDIY。安く上がりました。」
「お、本当にやったのか?すごかったな。」
「防音効果はバッチリで、下の人からのクレームも無くなりました。」
「へぇ。んじゃカンペキだね。」
「けど、困ったことがあるんです。」
「ビー玉が転がるようになったんです……。」
……そうか、床の水平が出なかったか。それは確かに困る。その内に気持ちまで悪くなるぞ。
「センパイ、どうにかなりませんか?」
「知らん。それこそリフォーム屋に聞いてくれ!」
教訓:防音床リフォームについて
ここまで防音床リフォームを取り上げた。床を伝わる音から、その音のシャットダウン方法までイメージが出来たことと思う。さて、ここで本記事にて取り上げた内容を復習しよう。
1)マンションの下の階への防音対策
●防音床へのリフォームがおすすめ
2)防音床リフォームの注意点
●誰でもできるリフォームではない
●完全に音が無くなるわけではない
●扉などとの干渉もあり得る
音は意外に気になるもの。迷惑をかけることも多いだろう。しかし、マンションは譲り合いの精神が非常に重要。お互いが気持ちよく暮らせるように、ぜひとも検討して欲しく思う。
防音床についての追加情報
ここでは固体音を取り上げましたが、人間の感じる音はどれくらいかを取り上げましょう。
まずは音ですが、音は振動なので周波数(Hz・ヘルツ)で表現できます。この内、人間は聞き取れるのは大体20Hz~20,000Hzです。
さて、固体音は基本的には重低音が伝わりやすいです。概ね500Hzとも言われますが、いわゆる「重低音」と呼ばれる部分でしょうね。
ところで、固体音の伝わりは床からの音だけとは限りません。また、ズンズンと響く音だけとは限りません。
と言うのも、壁や配管が伝わる音が問題になるケースがあります。また、スプーンのようなものを落としても響くことがあります。
いずれにしろ、防音性能は床だけではなく、壁などの対策も必要です。……床を変えるのであれば、壁もデザインを併せて模様替えするのも良いかも知れませんね。
ちなみに、「重量床衝撃音対策」と「軽量床衝撃音対策」については、国土交通省住宅局住宅生産課が出している「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」に記載があります。どうぞ参考にしてください。
参考資料
出典
国土交通省住宅局住宅生産課:新築住宅の住宅性能表示制度ガイド
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/070628pamphlet-new-guide.pdf
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