【物語の背景】
主人公は東京都内在住の50代の大手建材メーカーの会社員。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
ここで取り上げるのは外壁のコーキング異常に気が付いた妻と主人公のエピソード。どうなることやら。
「あんた!大変だわよ!家の外壁が割れそう!」
なんだと?家の外壁が割れそうだと?どういう意味だ?
「ちょっと来て!」
面倒臭ぇなぁ。と若干思いながらも外に出てみた。そうすると、確かに割れそうになっていた。……ただしコーキング部分。
確かにコーキング部分は重要だけどさ、まだ大丈夫なんじゃないの???
「どうなの?」
「まぁ、この状況だと大丈夫だと思うよ。」
「けど、この割れは納得行かないわよ。どういうことか説明してちょうだい!」
「へいへい……」
そんなわけで、外壁部分に使うコーキングについて説明することになった。……面倒臭い。
外壁塗装とコーキング処理
「さて、住宅の外壁塗装は家を長持ちさせるために重要だ。けど、外壁は単にサイディングに塗料を塗るだけではいけない。外壁材の隙間を埋めなきゃいかん。」
「確かに隙間があると水が中に入るもんね。」
「そうだな。壁の中への水の侵入は極めて良くない。水が入ると中の部材まで腐食してしまう。」
「だから隙間を埋めなければいけない。そこで使われるのがコーキング材。見て分かるように、ゴム状の充填剤がサイディングの隙間に埋めてあるヤツだ。もともとはペースト状なんだけど、時間が経つとゴム状に硬化する。ゴム状だからこそ止水に有効だし、振動なんかにも強い。」
「なるほど。隙間にコーキングですると、隙間がゴム状になるのね。」
【ここでのポイント】
サイディングの隙間はコーキング材を充填して塞ぐ。
コーキング材の種類
「ところでだけど、コーキングにもいくつもの種類があるんじゃない?例えば、屋内用とか屋外用とか。」
「いい質問だ。コーキング材にも確かに種類がある。大体、これくらいの種類がある。
●シリコーン系
汎用のコーキング材でキッチンや浴槽まわり、屋根なんかにも使える。耐候性や耐熱性にも優れる。ただし上からの塗装はできない。
●変性シリコーン系
耐候性が良く、塗装も可能。外壁を含む建築分野にも多く使われている。ちなみに、「変性シリコーン」と呼ばれているがシリコーン系とは異なり、ポリウレタンの改良品だ。
●アクリル系
水性エマルジョンタイプのコーキング。用途はALCの目地や壁紙の下地処理など。硬化後は非弾性。耐候性は良くない。
●ポリウレタン系
塗装が可能なコーキングで耐候性は良くない。そのため、屋外で使用する際には上からの塗装が必要となる。また、硬化が遅いなどの特徴もある。
●ポリサルファイド系
高い耐久性と柔軟性を誇るコーキング材。耐用年数が非常に長く20年とも言われる。コンクリートの継ぎ目やサッシまわりなどに使われる。ただし、紫外線に弱い特徴もあるので、塗装などで保護する必要あり。
●ブチルゴム系
粘着力が非常に強く、硬化後もベタ付きは続く。用途としては防水シートの接着などが主な用途。
このように、コーキングにも種類があり、ケースに合わせて使わなければいけない。『汎用だからいいや』って感じで何も考えずに選び、後から塗装ができないことに気が付いて涙を流す……」と言ったこともあるから気を付けなければいけない。」
【ここでのポイント】
主なコーキング材は次の通り
●シリコーン系
●変性シリコーン系
●アクリル系
●ポリウレタン系
●ポリサルファイド系
●ブチルゴム系
コーキングの耐用年数
「けど、コーキングにも耐用年数ってあるんでしょ?例えば、『外壁塗装が10年』とかいうイメージで。」
「その通り。あるよ。種類がいろいろあるから一概には言えないけど、5~10年と言われていた。ただ、寿命は何を指して言うかで微妙に変わる。例えば、しなやかさが失われてガチガチに固まった状態もあるだろうし、切れる場合もあるだろう。また、剥がれるケースも聞く。」
「なるほど。ある程度の時間が経ったら外壁塗装と同じで確認するべきってことね。」
「そういうことだね。」
【ここでのポイント】
コーキング材の耐用年数は5~10年。ただし、現場によっても違うので、最終的には現場確認が必須。
コーキングが劣化するとどうなるか?
「ところで、コーキングが劣化するとどうなるかを教えてよ。」
「今言ったと思うが、コーキングの劣化の現象は次の3つが主なものだ。『硬化』『ひび割れ』『剥がれ』だろうな。」
硬化
「コーキングは外壁材の隙間を埋める素材だけど、『ゴム状』であることが意外なほどに大切なんだ。例えば、地震が来た時なんかは建物の各部材に摩擦や衝突や歪みが出る。これは外壁材も同じだ。しかし、コーキングのような弾性体があれば、それがクッションになって摩擦や衝突が起きない。部材の耐用年数が延びて、家屋の耐用年数も長くなる。」
「確かにね。」
「ところが、コーキングが劣化してしまうと弾性が失われる。ゴム状でなくなってしまうので、切れやすくなったり剥がれやすくなったりする。」
「なるほど、いろんな弊害が発生するのね。」
ひび割れ
「ひび割れもあり得る。例えば、コーキングが硬化してしまった状態で、部材に歪みが発生した場合なんか。場合によっては、 コーキング部分がその変化に耐えきれなくなって切れてしまうんだ。
ちなみに、コーキングが切れてしまうと壁の内部にまで雨水が入ってしまう。入った雨水は壁の中を痛める。意外にダメージは大きいんだよな。」
剥がれ
「剥がれも厄介な現象ではある。けど、これは施工不良である可能性も否めない。」
「施工不良ってのは?」
「コーキングを打つ面はきれいにしておかなければいけない。けど、汚いままで打ってしまうと、その部分の食いつきが悪くなる。硬化してしまうと、その食いつきの悪かった部分で剥がれるんだよな。」
「なるほど、そうか。」
【ここでのポイント】
コーキング劣化の現象は主に次の3つ
●硬化
●ひび割れ
●剥がれ
コーキング部分の処置について
「次に、コーキング部分の処置について取り上げよう。コーキングの処置には『打ち替え』『増し打ち』『部分撤去+増し打ち』の3つがある。それぞれについて説明するぞ。」
打ち替え
「打ち替えは既存のコーキングを全部撤去して新しいものに取り換える工法だ。傷んだコーキングを全部交換するので、最も確実な方法とも言える。ちなみに、既存のコーキングの撤去の作業は極めて重要で、不適切でないと施工不良になり得る。」
「どんな施工不良?」
「剥がれる可能性が高まるんだ。」
「それは困るわね。」
増し打ち
「増し打ちは既存のコーキングの上からコーキングを継ぎ足す工法。サッシまわりなんかが多いらしいね。」
「なるほどね。」
「けど、業者によっては交換が必要な箇所も増し打ちでごまかす場合もあるらしい。既存のコーキングを撤去する手間が要らないから簡単に施工が終わるんだ。しかも、固まった後ならば見ても分からないからね。かなり悪質。」
「確かに悪質だわ。」
一部撤去+増し打ち
「次に、既存のコーキングの全部の撤去をしないけど、表面だけカットする方法もある。コーキングは外壁材の継ぎ目だけでなく、サッシまわりのような形状が複雑な部分にも行われる。そのような部分のコーキングは簡単には撤去できない。だから、表面をカットして、増し打ちをするんだ。」
「なるほど、サッシとかもあるわね。」
【ここでのポイント】
コーキング部分の処置は次の3つ
●打ち替え
●増し打ち
●一部撤去+増し打ち
後日談
「あんた!仕事よ!」
……なんだよ、今日は日曜日だぞ。
「リフォーム屋さんの見積りを取ったけど、どれも高いのよ。取りあえず、あんたがコーキングをやってよ。」
……なんだ、このパターン、いつものヤツか?
「カンベンしてくれよ。それは職人の仕事だぞ。」
「職人さんを頼むとお金がかかるのよ。あんたならばタダだし。」
……要は自分は奴隷ってことか。まぁ、これも仕方ないのかなぁ。はぁ……。
教訓
以上、外壁塗装の際に行われるコーキングにいついて述べて来た。
ここで、ここまで述べて来た内容をダイジェスト的に挙げてみよう。
1)サイディングの隙間はコーキング材を充填して塞ぐ。
2)主なコーキング材は次の通り
●シリコーン系
●変性シリコーン系
●アクリル系
●ポリウレタン系
●ポリサルファイド系
●ブチルゴム系
3)コーキング劣化の現象は主に次の3つ
●硬化
●ひび割れ
●剥がれ
4)コーキング部分の処置は次の3つ
●打ち替え
●増し打ち
●一部撤去+増し打ち
住宅はメンテナンスが非常に重要。コーキングなどは目立たないが非常に重要な部分である。適切なメンテナンスを行い、自宅を大切にしてもらいたく思う。

