【物語の背景】
主人公は東京都内在住の50代の大手建材メーカーの会社員。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
今回は子供が遮熱シートをネットで発見。家族に紹介するシーンから。
ある日のこと、子供が得意そうに言って来た。
「ちょっと知ってる?ネットで凄いものをみつけた。」
……なんだ、またネットか。いい加減にスマホ中毒だな。
「ん?なんだ?凄いものって。」
「遮熱シートって素材。熱を反射するんだって。」
「なるほど、確かに面白い素材だ。それなら住宅なんかへの応用もある。」
「へえ、住宅にも使われているんだ。」
「まだ少ないかも知れないけど、施工事例はあるみたいだね。」
「教えてくれない?」
「いいよ。」 そんな感じで子供に遮熱シートの話をすることになった。
断熱性の重要性
「まずは住宅についてだ。住宅には断熱性が必要って言われているけど、それは何故か分かるか?」
「そこなんだよ。なんとなくボンヤリしか分からない。」
「んじゃ、そこからだな。住宅の断熱性の重要性からはじめよう。」
熱の移動
「まず、熱の移動から話を始めよう。」
「うん。」
「さて、断熱性が上がると熱の移動が抑えられる。簡単に言うと、家の中の温かさや涼しさが屋外に出て行きにくくなるんだよ。」
「屋外に出て行きにくくなるってことは、普段は出て行ったりするってことなの?」
「そうだよ。例えば、窓辺なんかはポカポカとしいて気持ちいいだろ。」
「うん、そうだね。」
「あれは屋外の熱が屋内まで来ているから。太陽光が入って来るからだけど、太陽光の熱は『放射』あるいは『輻射』で地上に来る。まぁ、電磁波だな。」
「なるほど。」
「それじゃ、仮に、何らかのシートでその放射を遮ったら熱は来るか?」
「来ないかも。」
「熱の移動が抑えられるってことなんだ。」
「なるほど。」
光熱費の削減
「次に、断熱の重要性を具体的に挙げてみよう。さっき言った、熱の移動を遮るシートを家の周囲に貼ったら、家の中で使う暖房や冷房はどうなる?」
「熱が移動しないから、少なくなる?」
「そうだね。当たり。」
「そう。そして、暖房や冷房を使うことが少なくなると、電気代が少なくなるだろう。光熱費が抑えられるんだ。」
「なるほど。おトクってことね。」
「そうなんだ。」
ヒートショック対策
「ヒートショックって知ってるか?」
「お年寄りが急に寒い場所に行ったら発生するヤツ。大変なんだってね。」
「そうなんだ。大変なんだ。けど、家の断熱化が進んだら、この発生を抑えられる。」
「なんで???」
「断熱化が進んでいない家は場所によって寒暖が激しい。リビングは暖房を付けていて温かいのに、浴室は寒い、とかね。」
「ウチみたいだね。」
「まぁ、ウチは置いとくとしよう。断熱化が進めば、この寒暖の差が縮まる。だって、寒い場所の気温の低下が抑えられるからね。例えば、10℃まで下がるのと15℃までしか下がらないの、どっちがヒートショックのリスクが低い?」
「うーん、15℃の方?」
「そうだな。15℃であれば、寒すぎないからヒートショックのリスクは小さくなるんだ。」
「なるほどね。」
環境問題の対策として
「そして、環境問題の対策としても役立つね。」
「それはなんで?」
「例えば、住宅1戸の冷暖房を使う量が1割減ったら、発電量はどれくらい減る?」
「単純計算で1割だね。」
「んじゃ、仮に1000万戸の家の冷暖房を使う量が1割減ったらどうなる?発電所の数も減らしてもいいんじゃないか?」
「なるほど。」
「そうなると、発電所も少なくて済む。火力発電所なんかならば二酸化炭素を出す量も減る。だから環境問題対策として貢献するのさ。」
【ここでのポイント】
断熱性が重要な理由
●光熱費が削減できるため
●ヒートショック対策につながるため
●環境問題の対策につながるため
遮熱シートの有用性とは
「んじゃ、次に遮熱シートの話だ。」
「うん。」
遮熱シートとは
「遮熱シートはシート状の素材なんだけど、輻射熱を効率良く反射できるのが特徴だ。さっき輻射熱って言葉が出て来ただろ。」
「そうだったね。太陽から出て来るって感じだった。」
「そう。太陽光が代表例なんだけど、その他にも輻射はある。例えば、キャンプファイヤーなんかは火の側に近寄ると熱いだろ。あれは炎から熱が放射されるからだよな。」
「なるほどね。」
「遮熱シートは、そのような熱線を反射できるんだ。まぁ、炎の側に置けば燃えてしまうかもだけどね。」
住宅への施工も可能
「そして、シート状の素材だからものを包むことができる。家なんかも包めるのさ。」
「包むって、ぐるっとまわすの?」
「壁や天井の裏、あるいは床下なんかに敷くのさ。そうなると、部屋全体を包むイメージになるだろ?」
「確かにそうだね。」
断熱材と組み合わせると効果的
「ところで、家の壁や天井なんかに『断熱材』が仕込んであるのを知っているか?」
「なんとなくならば知っている」
「例としては、グラスウールやロックウール、あるいは発泡プラスチックの板なんかが使われる。似ているのがダウンジャケットかな。グラスウールやロックウールは繊維状の素材。ちょうどダウンジャケットの中身にイメージが似ている。」
「なるほど。それで部屋の中が温かいわけだね。」
「ついでに言うと、涼しさも逃げない。」
「そうかぁ。」
「ところで、それは断熱材の話だけど、断熱材で100%の熱移動を抑えることは出来ない。ダウンジャケットをいくら着ても、寒い日はあるだろ。」
「確かに寒すぎると、ダウンジャケットを着ても寒い時はあるね。」
「それはダウンジャケットが完全ではないからさ。断熱性は非常に高いが、完全ではないってことなんだ。そして、住宅の断熱材も同じで100%とは行かないんだよな。」
「それは残念だね。」
「けど、そこで遮熱シートを一緒に使うと効率が上がる。断熱性がアップするんだ。」
「断熱が二重になるイメージみたいだね。」
「その通り。」
……かくして、子供へのレクチャーは終わった。
【ここでのポイント】
●遮熱シートとは輻射熱を効率良く反射できるシート状の素材
●住宅への施工も可能
●断熱材と組み合わせると効果的
後日談:遮熱シートの話が終わってからのエピソード
「ただいまぁ……わ!なんだこの部屋は!」
ある日の夜、自宅に帰った時に驚いた。窓という窓にアルミホイルが貼られている。」
「何をしたんだ?」
どうやら子供のイタズラらしい。
「窓から熱が逃げるみたいだったから、窓にアルミホイルを貼ってみたんだよ。遮熱シートほどじゃなくても、少しは役に立つでしょ?」
「……あのな、熱の理論は正しいかも知れん。けど、窓ガラス全部を塞ぐと外が見えないだろ。」
「あ、そうだったね。」
「お母さんはこれを知ってるか?」
「まだ知らないよ。」
……こりゃ怒られる。子供に変なことを教えたでしょ!って怒鳴られるのがオチだろう。
とほほ……。
教訓:遮熱シートについて
ここまで遮熱シートについて取り上げました。各パラグラフのポイントを復習してみましょう。
1)断熱性が重要な理由
●光熱費が削減できるため
●ヒートショック対策につながるため
●環境問題の対策につながるため
2)遮熱シートの有用性とは
●遮熱シートとは輻射熱を効率良く反射できるシート状の素材
●住宅への施工も可能
●断熱材と組み合わせると効果的
遮熱シートを住宅に使う事例はまだまだ少ないかも知れません。しかし、このような技術の応用が進むとすれば、物語の中であったように、発電所の数を減らせるかも知れません。……地球温暖化の進む中、普及して欲しい技術と、個人的には思います。
遮熱シートに関する追加情報
遮熱シートに関係するネタとして面白い情報があるので紹介します。
遮熱シートはどれくらいの性能があるかの確認試験があります。それが「JIS L 1951:遮熱性試験(太陽光による放射熱の移動を測る試験)」です。
試験方法を簡単に言うと、人工太陽光を試験体に照射して、試験体の背面の温度上昇を測定するというもの。試験体の表面温度の状態からその試験体の性能が分かるわけです。
熱の問題は目に見えないためにイメージがしにくいのですが、このように測定すると、その性能がハッキリしますね。
参考資料
出典
JIS L 1951:生地の遮熱性試験方法
https://kikakurui.com/l/L1951-2019-01.html
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