【物語の背景】
主人公は東京都内の50代の建材メーカー勤務のサラリーマン。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
ちなみに今回は奥さんが土地を見つけて来たとのこと。どうなることやら?
「あんた、新聞広告見た?」
…見るわけねぇだろ?こっちはそれほどヒマじゃねぇんだ。けど、無視すると後が怖い。適当に合わせておくか。
「ごめん。まだ見てない。」
「土地が売りに出てたのよ。それも少し安めの場所。」
…また安めの土地か。ロクな土地じゃないよ。
「ただ、少し問題があるらしいの。なんか水はけが悪いんだって。」
「それならば安くもなるよ。条件が悪いもん。」
「どう条件が悪いのよ。」
「よし、今回は土地の水はけの話だな。」
水はけが悪いとどうなるか?
「水ハケが悪いってのがどんな状態かは分かるよな?」
「それくらいならば分かるわよ。雨なんかが降ったら水が無くならないで、いつまでもビチャビチャとか。」
「そうだな。そういう状態だ。んじゃ、その状態がどんな弊害を生む?そこがポイントだよ。」
「なるほど、二次的な被害もあるのね。」
「そういうことだ。」
雨の後は水たまりが出来てしまう
「まず最初の弊害は『水たまりが出来てしまって、それがなかなか無くならない』ってことだな。」
「まぁ、それは分かるわ。足元なんかもぬかるんで、靴なんかも汚れるもんね。」
「だろ?立派な弊害さ。」
家屋が痛む可能性もある
「ところで、今挙げたのが人への被害だとすると、別な角度からの被害もある。」
「なんなのよ?」
「家屋の被害さ。」
「家屋まで被害が出るの?」
「そうだよ。雨水が引かないことは基礎まわりを痛めることにもなり得る。基礎に使ってるコンクリートは強い物質だけど、残念ながら水を吸ってしまう。そのため、結構な悪条件が揃いやすい。」
「どういうこと?」
「それは次に話す。」
コケやカビのリスク
「まずヤバいのは、基礎にカビが生えたり、コケが付いたりすることだな。これは美観上の問題もあるが、住人の健康の問題にも繋がりやすい。」
「え?それはどういうこと?」
「例えば、カビは胞子を発散させる。それは立派に健康被害を引き起こしてくれる。良い例がアレルギーだろ。」
「確かにそうだわね。」
「しかも、基礎の内側とかにカビが生えたら厄介だと思う。」
「そうだわね」
「いずれ、困った事態になるんだ。」
「そうかぁ。」
シロアリのリスク
「湿度が上がると危険な生物が登場しやすくなる。」
「何それ?」
「シロアリさ。ヤツらは湿気の多い場所を好むし、腐った木を食う。湿度が高いと木は腐りやすい。だから危険なのさ。」
「なるほど、そうだわね。」
「ちなみに、シロアリのリスクは木造住宅だけのリスクじゃない。鉄骨の家なんかも危険だ。」
「あら、意外。」
「鉄骨系とは言っても、全部を鉄骨で作ってるわけじゃないからさ。細々した部材は木だ。」
「そうだったんだ。」
「例えば、玄関部分なんかは木を多く使っている。その下なんかがウイークポイントになる。」
「なるほどね。」
外壁が汚れる
「外壁が汚れるのも困るよね。ドロ跳ねなんかで汚れると掃除が大変なことになる。」
「それは分かるわ。家がドロだらけだと悲しくなるもんね。」
「しかも、外壁材はデザインのためにテクスチュアを付けている。そこにドロが入ると掃除も面倒だよな。」
売却しにくい
「土地を後世に遺すならば関係ないかも知れないけど、そうじゃない人は土地を売却することにもなり得る。」
「確かにそうだわ」
「その時に問題になるのが土地の価値。資産価値の無い土地は安くなりやすい。」
「資産価値は別じゃないの?」
「実勢価格は下がるだろうな。」
地盤に問題が出る
「地盤に問題が出る可能性もある。」
「地盤が弱くなるってこと?」
「その通りだ。」
「地盤に問題が出るとどうなるの?」
「地盤沈下のリスクも発性するね。家が沈んだり、傾いたりするのさ。」
「地盤沈下やら家が傾くやら、確かにロクなことは無いわね。」
「そうだろ?」
地盤改良が必要になることも
「仮に地盤に問題があった場合には地盤の改良が必要だ。方法としては、例えば、表層の改良なんか。いずれにしてもカネがかかるぞ。」
「けど、それって不動産屋の負担で施工するんでしょ?だって宅地として買うんだから。」
「残念だけどそうではないんだ。基本的には買い主の負担になる。」
「それは困るわね。」
【ここでのポイント】
水はけが悪いと次のような弊害が発生する
●雨の後は水たまりが出来てしまう
●家屋が痛む可能性もある
●コケやカビのリスク
●シロアリのリスク
●外壁が汚れる
●売却しにくい
●地盤に問題が出る
●地盤改良が必要になることも
水はけを良くするためには
「それじゃ、水ハケを良くすることは出来ないの?」
「まぁ、可能だな。完全にゼロにするのはどうかと思うけど、実害を小さくすることは可能だ。」
「そこを知りたいわ。」
土地に勾配を付ける
「最初の手段としては『土地に勾配を付ける』ことだな。家屋の側から道路の方に向かって緩く勾配をつければ水は流れて行くだろ。」
「そうねぇ。」
「ただし、勾配とは言っても緩いヤツね。」
「そうだわね。」
「ちなみに、この勾配を付けるのは意外と技術が必要だ。特に、土地が広くなると、状況が掴みにくくなるからね。」
「なるほど、確かに。」
暗渠排水(あんきょはいすい)の設置
「暗渠排水って知ってるか?」
「名前がややこしいわね。アンキョって」
「確かにな。けど、水はけ対策には役立つ。暗渠排水は簡単に言えば地下に排水用のパイプを設置すること。雨が降れば、そのパイプを遠って雨水が逃げて行く。」
「なるほど、上手い手段ね。」
「まぁ、地下に埋めるから、それなりの工事の規模になるけどね。」
砂利などを利用
「砂利なんかも有効だな。水は砂利の間を抜けて行くから。」
「なるほど、それはイメージしやすいわ。」
「ちなみに砂利にも意外とメリットがあるんだぜ。」
「なによ?メリットって。」
「雑草が生えにくいのさ。雑草の種はどこから飛んでくるか分からないけど、砂利の間に入り込めば発芽しにくくなる。」
「なんで?」
「発芽しにくくなるんだ。植物の発芽には意外と光が必要なんだ。けど、砂利の間に入り込むと光が届かなくなって発芽しにくくなるのさ。」
「なるほど、それならば分かるわ。」
「いずれ、砂利にもカネが必要だけどもな。」
【ここでのポイント】
水はけを良くするためには次の手段がある
●土地に勾配を付ける
●暗渠排水の設置
●砂利などを利用
後日談:水はけの悪い土地を説明した後でのエピソード
「あんた!あんた!」
・・・なんだよ、今日は休みだぜ。
「あの土地が売れたらしいのよ。」
「どうせ買ったヤツは損をするさ。」
「違うのよ。その人、湿地みたいな環境を逆手に取ってステキな家を建てるらしいのよ。」
「え???どうすりゃできるんだ?」
「庭の改良を少なくして、値段を抑えたらしいのよ。」
「なんだ。中途半端か。」
「いや、その中途半端はわざとらしくて。湿地を使った和風庭園みたいなのを作るんだって。」
・・・しまった。その手があったか。
「家屋の方は和モダンだって。ステキだわよ。」
・・・やられた。嫁さんの語気がヒートアップしている。
「あんた!!!」
「ハイ!!!」
・・・まいった。しばらく怖い日が続く。逃げられないのがツラすぎる。とほほ。
教訓:水はけの悪い土地に関して
ここでは水はけの悪い土地について取り上げた。意外に弊害があることを思い出した人も多いのではないだろうか。
ここで、ここまで述べたポイントを復習したいと思う。
1)水はけが悪いと次のような弊害が発生する
●雨の後は水たまりが出来てしまう
●家屋が痛む可能性もある
●コケやカビのリスク
●シロアリのリスク
●外壁が汚れる
●売却しにくい
●地盤に問題が出る
●地盤改良が必要になることも
2)水はけを良くするためには次の手段がある
●土地に勾配を付ける
●暗渠排水の設置
●砂利などを利用
土地選びは家づくりの上でも非常に難しく、重要なパートである。情報を集めて最適な場所で家づくりをして欲しく思う。
水はけの悪い土地に関する追加情報
ここでは水はけの悪い土地について取り上げました。今の宅地の場合は問題なく使われているでしょうが、時として悪条件の場所もないわけではありません。そのような土地を紹介された時に、このような知識が役立つと思います。
ちなみに、庭まわりの水はけなどはケースバイケースで施工されている模様です。そのため、業者との打ち合わせが重要になります。スムーズに打ち合わせをするためにも、十分に勉強をしておくことをおすすめします。
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