【物語の背景】
主人公は東京都内の50代の建材メーカー勤務のサラリーマン。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
ここで扱うのは20年前のこと。どんな家を買うかで揉めに揉めた顛末記。自分は新築住宅を、嫁さんは中古住宅を買ってリノベーションをする方を激推し中。
住宅の購入は「一生の買い物」とも言われるが、これは1人の問題であれば問題は大きくならないだろう。
しかし、夫婦をなるとそうも行かない。価値観やら生活感やらが相当に違う人間の話し合いである。時として、それは大勝負となり、場合によっては夫婦関係も壮絶な最期を……迎えるかも知れない。
ところで、ここで取り上げるのは20年前のエピソード。今だって嫁さんには頭が上がらないが、何とか夫婦をやっている。自分としては苦い思い出もあるが、外野からは笑って見れることだろう。
まぁ、いいだろう。我々夫婦のバトルを笑ってくれい。
論争!新築vs中古+リノベーション
この間だったが「新しいものはいいもんだ」とポツリとつぶやいたことがあった。それは本当にちょっとしたつぶやきであった。しかし、それに嫁さんは激怒した。
「何よ!悪かったわね!どうせ私は古いわよ!」
見ると、嫁さんは顔をパックしている最中。シワが気になったのかは分からないが、タイミングが最悪過ぎた。
ちなみに、それは住宅展示場に行こうとした前の晩のこと。こりゃあ揉めるぞ……嫌な予感がしながら、自分は布団にもぐった。
新築派と中古+リノベーション派の対決
さて、次の日になった。
我々夫婦は住宅展示場に向かった。展示場にあったのは魅力的できれいな家ばかり。嫁さんの目は完全にハートマークになっていた。舞踏会のシンデレラとは言わないまでも、王子様とのダンスのような気分だったのだろう。
まぁ、それもそのはずだ。住宅展示場なんていうのは住宅会社の腕比べみたいなもんだ。各社ともカッコいい家を建てる。実際に建てたらショボかった……なんて話はよく聞いた。
だが、そのシンデレラにも12時が来たようである。……住宅会社の営業マンに話を聞いたのだ。そして、値段を聞くと……今までハートマークだった目が飛び出そうになった。いやいや、なかなかの逆転劇だった。
「もう帰るわよっ!!」捨て台詞を吐いて、我々は展示場を後にした。
しかしだ。……あの家、良かったなぁ。
その家のすばらしさは建材メーカー勤務の自分には良く分かった。
徹底的な泥試合
さて、何日か後のことである。
嫁さんは中古住宅にリノベーションをすれば安くて良い家が手に入ると聞いたらしい。いきなり家の購入を切り出して来た。
「あんた!中古住宅をリノベーションすれば安くて良い家が手に入るらしいわよ!」
「誰から聞いた?そんなこと」
「同級生だった不動産屋さん」
まいった。その手があったか。敵は不動産屋をバックに着けて来やがった。確かに中古にリノベーションをすれば良い家が手に入る。……それは自分も承知している。けど、自分は住宅展示場で見たあの家が欲しい。
「けど、中古住宅なんて知れてるだろ」
「そんなことはないわよ!不動産屋だって勧めているだから!」
なんだ、この嫁はやたらと不動産屋の肩を持つ。不動産屋のヤツ、もしかしたらイケメンか?
まぁ、そんなこんなでバトルが始まった訳であるが、そのバトルは次の章を参照されたし。
【ここでのポイント】
住宅取得は新築住宅の購入だけでなく、中古にリノベーションをする購入方法もある。
自分の言い分!……新築住宅はここがメリットだ!
さて、バトル開始。
最初は自分のターン。
まずは新築住宅のメリットを叩き付けた。
全部が新しいだろ!
「あのな、新築住宅は全部が新しいんだぞ。設備だって内装だって最新式だ。家の構造だって最新技術を組み込んでいる。デカい地震が来ても大丈夫なんだ。実際、建材の進化を見てみろ!10年でびっくりするほど進んでいるぞ!」
…………最初のジャブは嫁さんにダメージを与えたようだった。いつもはできない攻撃だ。なかなかに気分がいい。
ローコスト住宅だってあるぞ!
「それからローコスト住宅だってある。あそこの住宅展示場には無かったかも知れないけど、安くて高性能な住宅を作る会社だってあるんだよ!」
…………最初は新築で目がハートになってた嫁さんだ。この一撃は結構な威力。
【ここでのポイント】
新築住宅のメリットにはこんなのがある。
●全部が新しい
●ローコスト住宅もある
反撃!中古住宅+リノベーション住宅だってメリットはあるわよ!
次は嫁さんのターン。
いきなりの反撃!
感情的になっているからトンでもなくタチが悪い。
価格は中古が安いわよ!
「何言ってるのよ!価格は中古の方が断然安いわよ!実際、リノベーションをしても安い場合も多いじゃない。それとも高い家を買ってお小遣いを減らしてもいいの?」
…………小遣いの減額は困る。一瞬だけ謝ろうかと心がグラついた。
広い家が多いわよ!
「中古は広い家が多いのを知らないの?今の新築は小さく土地を分けて売っているから広い家なんてそんなにないわよ!」
…………確かにそれは言える。建売の新築戸建ては意外に狭い。
自由度の高い家作りができるわよ!
「それから、今のリノベーション技術を知らないの?設備だけでなくて間取りの変更もできる。自由度がすごく高くって、しかも住宅性能なんかのアップもできるのよ!」
…………ギクッ、嫁さん、そこまで知ってたか。
【ここでのポイント】
中古+リノベーション住宅のメリットにはこんなのがある。
●価格が安い
●広い家が多い
●自由度の高い家作りができる
中古物件のデメリットを言ってやった……中古なんて○○だ!
続いて自分のターン。
中古住宅のデメリットを叩き付けた。
見えない部分で劣化してるかも知れないじゃないか!
「中古は見えない部分で劣化している場合がある。柱をシロアリが食っていたらどうする?
配管なんかも劣化しているかも知れん。壊れたりしたら大変だぞ!」
…………中古住宅のデカい欠点を叩きつけてやった。嫁さんの顔がゆがむ。気分がいい。
保証期間が短いじゃないか!
「保証期間だって中古は短い。早い時期にガタが来たらどうするんだ。仮に早い内に壊れたら自己責任になる場合もあるんだぞ!」
…………こいつもなかなかの威力。嫁さんは肩を震わせ始めた。
古くなったらリノベーション費用だって上がるんだ!
「確かに中古は安いけど、古くなったらリノベーション費用だって上がるんだ!新築よりも高くなったらどうしてくれる!」
…………会心の一撃!嫁さんはガックリとしていた。
【ここでのポイント】
中古+リノベーション住宅のデメリットにはこんなのがある。
●見えない部分の劣化の可能性
●保証期間が短い場合がある
●古くなったらリノベーション費用は高い
嫁さんの猛攻……新築住宅なんて〇〇じゃないの!
最後の猛攻!嫁さんの逆襲だ。
新築住宅のデメリットをぶちまけて来た。もはや半泣きだ。
とにかく高いじゃないの!
「新築なんて高いだけじゃないの!新築プレミアムって言葉を知らないの?新しいってだけで値段が2割も違うのよ!」
…………さすがはバックに不動産屋が付いている。嫌なところを突いて来る。
狭い家が多いじゃないの!
「新築なんて狭い家が多いじゃないの!あんたは残りの人生を犬小屋で過ごす気なの?」
…………犬小屋は言い過ぎだとは思うけど、相手は怒り狂っている。タチが悪い。
間取りなんか思い通りにならないじゃないの!
「新築なんて間取りとか設備とか、とにかく色んなところが自由にできないじゃないの!」
…………確かに新築住宅は注文住宅でない限り、間取りや設備の自由はない。あったとしてもオプションの場合があって、意外に多額のカネを取られる。そこは住宅会社の汚いところだ。
【ここでのポイント】
新築住宅のデメリットにはこんなのがある。
●価格が高い
●狭い家が多い
●設備や間取りの自由度が低い
勝負の結果は???
かくして、その年で最恐の大バトルが繰り広げられたのだが、最終的には痛み分け。どっちが良いかの結論は出なかった。ただ、自分の攻撃は嫁さんの反感を買った様子。どうやら明日の弁当は貧相になりそうだ。
さて、新築と中古の選択だが、結局のところ、ケースバイケース。価格を取るか自由度を取るか、それぞれが自分に合わせて決めなければいけない。
ただ、そこでの家族の内戦は自分たちでケリを付けなければならず、最後はジャンケンか何かが決定手段になるかも知れない。
後日談:論争を終えて
では、最後の勝負はどうなったか。
……最終的には嫁さんの家族の介入で事態は納まった。なんと、嫁さんのご家族がマイホームの購入資金を用立ててくれるとのこと。これで新築を購入することになった。
もとより、新築住宅に目をハートにしてた嫁さん、新築が買えることになったら機嫌が途端に良くなった。これで小遣いが上がるぞ!……と思ったが、小遣いの件は自分の幻想で終わった模様。嗚呼、悲しい。
教訓:新築戸建てと中古+リノベーション
ここまで新築にするか中古+リノベーション住宅にするかを述べて来た。
最も重要なのは新築住宅と中古+リノベーション住宅。メリットとデメリットを表にまとめる。
| 優位性 | 新築住宅 | 中古+リノベーション住宅 |
| メリット | ・全部が新しい ・ローコスト住宅もある | ・価格が安い ・広い家が多い ・自由度の高い家作りができる |
| デメリット | ・価格が高い ・狭い家が多い ・設備や間取りの自由度が低い | ・見えない部分の劣化の可能性 ・保証期間が短い場合がある ・古くなったらリノベーション費用は高い |
なお、これらのポイントは自分の経験から導き出した範囲の結果だ。価値を見出すのは個々の価値観によるし、それぞれに事情があるだろう。
いずれにせよ、家作りは家族の幸福への投資とも言える。自分の状況に合わせて、最適解を選び取って欲しい。
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