意外かも知れない……風の強さは高さで決まるってホントなの?

風圧を受けている住宅。記事テーマと合致。 家屋
【書いた人】
●名前:「主人公」 年齢50代
●キャリア:大手建材メーカーに30年の間、エンジニアとして勤務。
●主に住宅建材開発及び材料・製品の試験業務を担当。
●仕事の内容は商品企画から設計、試験、クレーム対応など、商品に関するあらゆる件に対応。
●住宅建材の発明者としての特許あり。
●ブログを書く目的:30年を通して培ったノウハウを元に、「良い家づくり」を広めること。AIでは経験し得ない「生の一次情報」を元に、「分かりやすい内容」で情報提供をしたいと考えた。
●「より良い家づくりのお手伝い」がモットー。

【物語の背景】
主人公は東京都内の50代の建材メーカー勤務のサラリーマン。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
最近は妻の家づくり欲求がヒートアップ。けど、今回は台風直撃で困惑している様子。危うし嫁さん!

「あら、いやだわね。台風が発生したみたいよ。」

「大丈夫さ。台風くらい。」

「まぁ、今まで台風にやられたことは無いけど、やっぱり不安じゃない。」

「確かに風は危険だもんな。用心に越したことはないか。」

「けど、テレビなんかで見ると、台風で屋根なんかが飛ばされるって映像を見るわよね。」

「確かにそれはあり得るけど、この家は問題ないはずだよ。」

「そうやって安心しているのは、なんでなの?」

……嫁さんの語気がヒートアップして来た。イライラさせると面倒だぞ。

「だって、風に対しては計算がしっかりとされているからさ。」

「??????……風を計算に?」

「そ、風を計算しているんだ。」

嫁さんが目を白黒させている。そうだな、少し講釈でもするか。

「んじゃ、風について話すぞ。」

風はどうやって計算する?

「まずは計算の結論だ。風の強さは『高さ』と『形状』で違う」

「高さと形状ね。」

「実は、風に対する計算ってのは法律で決まっているんだ。風圧力は風速と地面や周辺の状況によって変わる。計算の方法は面倒臭い。」

「どれくらい面倒臭いの?」

風圧力の計算はどうするか?

「これくらい面倒くさい。とりあえず、次の式を見てくれ。」
風圧力の記載されたタブレット端末を嫁さんに見せた。その瞬間、顔が青ざめた。

耐風圧の計算方法を記載。記事テーマと合致。

「まぁ、基準とする風速にいくつもの係数をかけて算出するわけだな。」

「とにかく面倒臭いのは分かった。けど、風圧力って?」

「風で掛かる力。圧力みたいなもの。風速とは違うぞ。風速はあくまでも『速さ』だ。『圧力』とは違うからな。」

「分かったような分からないような……」

「まぁ、いい。説明を続けるぞ。」

「うん」

「ただ、今言ったのは高さが13mを超えている建物の話。しかし、戸建て住宅なんかは13mを超えるケースはむしろ少ない。」

「確かにね。平屋なんかはそうだもんね。」

「それじゃ、どうするのかって言うと、これも法律で決まっている。」

サッシなんかはどうするの?

「ところで、窓なんかは少し違う計算方法だ。これは古い計算方法なんだけど、業界団体のサッシ協会なんかは次の式を使っている。」

サッシの強度計算方法。記事テーマと合致。

「これは一般社団法人 日本サッシ協会の『FRONT』って資料に載っている式だな。」

「また難しいわね。」

「確かに難しい。けど、この式のポイントはさっきも言った『高さ』によって風圧力が変わることと、『建物の形状』によっても変わることなんだ。雰囲気としてだけど、1mの高さの物が4mまで上がったら、風圧力は2倍になるって思ってくれ。」

「2倍?……よく分からないけど、高さで厳しくなることが分かったわ。」

「ちなみに、『形状』ってのもある。たとえば、家屋に横から風が吹く時なんか、窓に加わる力と屋根に加わる力が違う。屋根は斜めになっているだろ?」

「そうだわね。確かに斜めだ。」

「それから、吹き付ける面とは反対側のサッシにも力が加わる。ちなみにこれは『引く力』だ。」

「引く力も加わるのか。」

「ともかくとして、住宅建材はそのようにして作られているってことだ。だから台風が来ても大丈夫ってことなのさ。」

「それも分かったことにしておくわ。」

……まあ、仕方ない。計算って難しいもんな。

古い建物の場合

「けど、台風となると宮城県の実家が少し気になるな。築50年だったけど。」

「築50年か……築年数は経っているけど、大丈夫だと思うよ。」

「なんでそう言えるの?」

「古い計算式であっても、強烈な台風を元にして計算式が作られているからさ。『室戸台風』って知ってるか?」

「いつの台風よ?」

「1934年だ。この時の最大瞬間風速の63m/sを基準にしている。ちなみに、この基準としているのは地上高さ15mね。」

「とにかく強烈だったのは分かったわ。あと、大丈夫そうなこともね。」

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高さによって変わる風

「ところで、『高さによって変わる風』と聞いて何を思い出す?」

「分からないわよ。そんなの。」

「家にもあるさ。例えば、1階と2階の窓なんか。2階のヤツの方が条件は悪い。」

「なるほど。高いもんね。」

「そう。だから強度が求められる。弱いと壊れたり飛ばされたりするから。」

「けど、窓だって、そこいら辺を計算に入れて作られているんでしょ?」

「そりゃそうさ。窓の耐風圧性に関しては試験までしてある。信頼性は高い。」

「なるほど、それじゃ大丈夫ね。」

DIY施工の高いものはどうなる?

「それからだけど、『高さ』って実は重大なネタでもあるんだ。特にDIYでの工事ね。」

「と言うと?」

「例えば、テラス屋根をバルコニー部分にDIYで施工した場合。少ないとは思うけど、聞いたことはある。」

「どうヤバいの?」

「高ければ強い力が加わるって言っただろ。4mになると2倍の力ってこと。けど、それを知らないで、簡単に施工してしまう人がいるらしいんだ。」

「簡単に施工って言うと?」

「規定のネジよりも細いものを使っていたり、数を減らして施工したりするらしいんだ。」

「それがどうかしたの?くっついているからいいじゃない。」

「とんでもない。それを逆に言うならば強い力を細いネジで止めたり、数が少ないネジで固定していたりすることだ。」

「ちなみに、細いネジを使うとどうなるの?」

「施工する時はラクに済むことが多い。けど、引き抜けやすくなったり、折れたりする可能性が高まったりする。つまり、破壊しやすくなるんだ。」

「そりゃ危ないわね。」

「そうさ。しかも2階に設置したものが外れて飛んだらどうなる?隣家に突っ込んだらエラいことになるぞ。」

「………」

「けど、ウチは大丈夫だな。うんうん。」

悪質な業者もいる

「ちなみにだ、悪質な業者っているだろ?」

「そうだわね」

「残念なことではあるが、住宅業界には悪質な会社も少なくない。リフォーム関連の会社でヤバいところがあることは聞いているだろう。」

「ええ、そうね。消費者センターとかにも行っているらしいわね。」

「そうなんだ。だからこそ我々も気を付けたい。だって、そんな業者がネジを減らして工事をしたらどうする?」

「すごくヤバいね。」

「そう、極めて危険なんだ。しかも、施工された方は素人である場合が非常に多い。だから騙されるんだ。」

「周囲の口コミとかを参考にしたら良いのかな?」

「そうだね。後は施工実績なんかも見ておきたい。」

後日談:風の話を終えた後でのエピソード

「あんた!大変だわよ!」

なにがどうした?嫁さんがヒスを起こしているぞ。

「実家からの電話なんだけど、2階のバルコニーに置いたものが隣まで吹っ飛んだんだって。」

「え?」

「どうも隣の家の車を汚したらしいのよ。人にぶつかってないのが不幸中の幸いってことだわ。」

「まぁ、確かにな。」

……やれやれ、今回は自分にも関係無いらしい。

「けど、なんか隣の家まで傷付けちゃったらしいのよ。それで、修理しろって言われたらしいわ。」

……なんか悪い予感がして来た。

「今度の休みに実家に行くってことにしたからね。隣の家の修理をして、謝って来てちょうだい!」

……結局こうなっちゃうんだよなぁ。……嫌になっちゃうよ。グスン。

教訓:風について

ここでは建築物……高さ13m以下の建築物の風について取り上げた。

面倒臭い内容だったが、今の建築物は風圧力を勘案して開発されていることを覚えて欲しい。

しかし、そのような製品であっても施工がいい加減であれば危険だ。きちんとした業者を選んで欲しい。

参考資料

出典
一般社団法人 日本サッシ協会 「FRONT」
https://www.jsma.or.jp/Portals/0/images/construction/aluminumfront1605_2.pdf
最終閲覧日:2026年2月7日

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