【物語の背景】
主人公は東京都内在住の50代の大手建材メーカーの会社員。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
ここで取り上げるのは新居を夢見ていた奥さんが良い土地を見つけたエピソードから。
「ねぇ、あんた。家って建売と注文住宅、どっちが良いのかしら?」
「そりゃ注文住宅だろ。なんたって自由に家が作れる。ただね……」
「ただ、どうだってのよ?」
「注文住宅は土地を手配しなけりゃならのだ。」
「そこで話があるのよ。この間、近くに良い土地が見つかったのよ。南向きで日当たり良好って土地。」
「へぇ、条件良いんだね。けど高いんじゃない?」
「確かに、そこそこ高いけど、買えない額じゃないわ。」
「そうか。そりゃ良い話だな。不動産屋に行ってみるか!」
かくして、自分たち夫婦は不動産会社に行くこととなった。
土地の日当たりの重要性
「いらっしゃいませ。あの土地の件ですね。今日はよろしくお願いします。」
不動産会社に行ってみると、なかなかに快活な営業マンが出て来た。なるほど、印象は良い。
「そうなんですが、なにせ好条件の土地の様子なんで、細かい部分まで聞いてから決めたいと思いまして。」
「なるほど、確かにそうですね。不動産にはメリットもデメリットも確かにあります。説明いたしましょう。」
しっかりしている営業マンだ。話を聞いてみるか。
「では、最初に日当たりの良い土地の特徴を説明しますね。」
居心地に関わる
「当然かも知れませんが、まず大きく関係するのが『居心地』ですね。
土地は人気で値段が変わると言っても良いくらいなのですが、やはり『居心地』の良い土地には人気が集まります。
そして、日当たりは居心地に大きく関係します。日当たりによって価格が大きく変わるのは、その辺りに理由があるのです。」
「まぁ、確かにそうだわね。」
……嫁さんも納得したようだった。
明るさと温かさが大きく変わる
「次に挙げられるのが明るさと温かさですよね。これも当然なんですけど、日当たりの良い場所は明るくて温かく、逆に日当たりの悪い土地は寒々とするかも知れません。」
「ま、そうだわね。」
「ちなみに、これは気分にも関わるらしいです。明るいと気分も晴れすいとか。なかなか気分の良いものですよ。」
「確かにね。」
家屋への影響
「日当たりは家屋にも影響します。日が当たるところは日光を強く受けるので、その影響がモロに出やすいのです。」
「どんなこと?」
「日射が強いということは、温度上昇のほかにも紫外線を受けることを意味するんです。紫外線って化学的な作用が多いのですが、家屋にもそのような影響を与えます。」
「なるほどねぇ。」
【ここでのポイント】
日当たりは居心地に関わる
●明るさと温かさが大きく変わる
●家屋への影響がある
日当たりが良い土地のメリット
「では、次に日当たりの良い土地のメリットとデメリットを説明しますね。まずはメリットかた挙げてみましょう。」
居心地が良い
「先にも挙げましたが、『居心地が良い』点が挙げられると思います。ご存じとは思いますが、陽だまりに居ると気分が良くなって、眠くなっても来ます。
これは日光に気分を落ち着ける作用があるためです。その結果として居心地が良くなるわけです。」
「なるほど、居心地ねぇ。」
「これは生理的な面からも言われているらしいですね。」
室内が明るくなる
「次は室内まで明るくなる点です。特に、今は大きなサッシを付けて開放的な空間をつくる家が増えていますから、より明るくなっていることと思います。明るくて開放的な空間です。気持ち良いですよね。」
「確かにそうですね。」
冬に温かい
「冬に温かいことも大きなメリットです。寒い日の場合は家の中まで冷えてしまいますが、日当たりが良ければ寒さが緩和されます。冬の寒い日などは気分が塞ぎがちではないでしょうか。しかし、日が当たればそんな気分は吹き飛んでしまうことでしょう。」
「まぁ、確かにそうだわね。気分も一新できるわ。」
洗濯物が乾きやすい
「洗濯物が乾きやすい点もメリットです。特に、寒い季節になると違って来ます。寒いと室内干しでも乾きが悪い場合もあるかと思います。
部屋が寒いと乾きにくいわけですね。けれども、部屋が温かいと乾燥しやすくなります。洗濯物が乾きやすいのです。」
「それは納得行くわ。」
結露がしにくい
「結露がしにくいのもメリットです。結露は室内が寒すぎる場合に起こる現象だと思いますが、日当たりが良いと室内が温まっています。それだけ結露がしにくいんです。」
「確かにそうだわね。けど、結露しないのは嬉しいわね。」
カビが生えにくい
「結露がしにくくなるとカビが生えにくくなります。」
「へぇ、そうなのね。」
「カビは水を好みますので、水に濡れる場所が弱いです。結露は空気中の水分が出て来る現象です。水がないので、カビが生育できる条件が整いにくく、その結果として生えにくいのです。」
資産価値が下がりにくい
「このように、魅力的なメリットが多いので、日当たりの良い土地は人気が高いです。しかも、その人気は落ちることが無いことでしょう。そのため、価格の下落がしにくく、資産価値も下がりにくいのです。」
「なるほど、資産価値ねぇ。」
【ここでのポイント】
日当たりの良い土地のメリット
●居心地が良い
●室内が明るくなる
●冬に温かい
●洗濯物が乾きやすい
●結露がしにくい
●カビが生えにくい
●資産価値が下がりにくい
日当たりが良い土地のデメリット
「そうは言っても、日当たりの良い土地にもデメリットはあります。」
……確かにそうかも知れない。けど、どんなところだろうか?
夏は暑い
「まず挙げられる点は『夏が暑い』点です。特に、昨今の夏場の気温上昇は非常に大きく、外に行くのも大変なほどです。室内も似たような状態になるので、室内の気温も上がってしまいます。」
「そうなるわよね。」
「ちなみに、暑くなるとエアコンを付けると思いますが、気温が上がれば上がるほどエアコンの稼働率も上がります。そして、それだけ電気料金も上がるわけです。」
「確かに、そうだわ。」
眩しい
「日差しが強いと室内も眩しくなります。そのため、カーテンを使う必要も出て来ます。これもデメリットであるかも知れませんよね。」
「まあ、それもデメリットかもね。」
内装が日焼けしやすい
「日当たりが良いことは日差しがそれだけ入るということです。そして、それは部屋の内装にも影響し得ます。内装がそれだけ日焼けしやすいのです。」
「それは困るわね。」
「しかも、日の差し込む部分が特に劣化が進みやすいです。例えば、窓辺なんかですね。」
「そうだわねぇ。」
外壁や屋根が傷みやすい
「日光の紫外線は様々なものを劣化させてしまいます。内装が痛むのはそのためなのですけど、これは家屋の外装にも同じように影響します。つまり、外壁や屋根が傷みやすくなるのです。」
「あら、そんなに痛んじゃうの?」
「場合によっては外壁塗装の頻度を少し上げなければいけませんよね。」
土地価格が高め
「先ほど資産価値について挙げましたが、それは価格も高いことを意味します。その条件は人にとってはデメリットとなるでしょう。それだけ購入が難しくなるからです。」
「そうなのよ。その部分ってネックになるのよね。
「他にいらっしゃったお客様も同じことを言っていました。高いって」
「なるほど。」
【ここでのポイント】
日当たりの良い土地のデメリット
●夏は暑い
●眩しい
●内装が日焼けしやすい
●外壁や屋根が傷みやすい
●土地価格が高め
日当たりが良ければ良い土地とは限らない
これまで不動産会社の営業マンが言ったことをまとめてみると、次のような条件が挙がって来るだろう。日当たりの良い土地を購入する上で検討すべきポイントとなりそうだ。
資産価値を考えると
土地は資産の意味もあるし、次世代にも遺すので、その価値が気になることもあると思う。そのような人には日当たりの良い土地がおすすめかも知れない。
ただし、あくまでも「かも知れない」くらいに考えた方がベターだと思う。近所に大きな建物が建ったら、その途端に日当たりが悪くなると思うからだ。
暑さと寒さのどちらを選ぶか
日当たりの良い土地のメリットは「温かいこと」であるが、デメリットも「暑いこと」ということだ。
これは冷暖房費にまで直結するので、最終的には『どっちのメリットとデメリットを取るか、ということになると思う。
家屋の痛みを考えると
これは日当たりの良い家の方が劣勢かも知れない。
ちなみに、外装のメンテナンス工事も結構な費用がかかる。その頻度が上がることはコストの点で結構なデメリットとなるだろう。
【ここでのポイント】
日当たりが良ければ良い土地とは限らない。
最終的にどちらに決めるか?
以上のようにメリットとデメリットが出たのであるが、最終的にはメリットとデメリットの内、「どれを取る」か「どれを容認する」かで決まると思う。
結局のところ、ケースバイケースであろう。経済的に恵まれた人であれば、冷暖房費も外壁塗装の費用もそれほどのデメリットと感じないかも知れない。
しかし、経済的に余裕がそれほどない人は、経済的損失のために、その土地を見送るはずだ。
……そんなことを考えていたら、嫁さんが話しかけてきた。
「あんた、とりあえず見てみない?」
「そうだな、まずは見ようか。」
その後の話
さて、その後で不動産会社の営業マンに連れられて、その土地に行ってみた。なるほど、近所にはスーパーなんかもあるし、静かな街のようだ。これは買いかも知れない。
「ここです。いかがです?」
「………」
自分も嫁さんも唖然としてしまった。と言うのも、土地に猫が集まっているからだ。
なるほど、日の当たる場所は猫にとっても居心地が良いらしい。そこは人間と同じだ。
「いつもこんなに猫が集まっているんですか?」
「ははは……おかしいなぁ。こんなはずではないんですがね。」
……この営業マン、ウソをついているな。猫はいつも居るはずだろう。
結局のところ、その土地は見送った。猫の居場所を考えると、どうしても契約できなかったのである。
「あの土地、猫さえいなかったら買ってたのに……。」
嫁さんは悔しかった様子だった。まぁ、それも仕方のないことだろう。せっかくの新居のチャンスが無くなったのだから。
「まぁ、仕方ないじゃない。猫だって居場所が必要だろ。その居場所を奪うのはかわいそうだしな。」
そんなこんなで、新居の夢は先送りになってしまった。
おそまつ。
教訓:日当たりの良い土地について
ここでは日当たりの良い土地について述べた。意外に日当たりの良い土地にもデメリットがあって、驚いた人も居たのではないかと思う。
さて、ここまで挙げた主なことをまとめてみたい。概ね、次のようになるだろう。
1)土地の日当たりの重要性
●日当たりは居心地に関わる
●明るさと温かさが大きく変わる
●家屋への影響がある
2)日当たりの良い土地のメリット
●居心地が良い
●室内が明るくなる
●冬に温かい
●洗濯物が乾きやすい
●結露がしにくい
●カビが生えにくい
●資産価値が下がりにくい
3)日当たりの良い土地のデメリット
●夏は暑い
●眩しい
●内装が日焼けしやすい
●外壁や屋根が傷みやすい
●土地価格が高め
3)日当たりが良ければ良い土地とは限らない。
日当たりの良い土地に関する追加情報
ここまで「日当たりの良い土地」をテーマに物語を記しましたが、「日射が家屋に影響を与えることで驚かれた人もいることと思います。
確かに、日光に含まれる紫外線は家屋を傷めます。しかし、家屋に使われている部材も部品も、多くが耐候性の試験を行っていることをご存じでしょうか。
では、どのような試験を行っているかと言うと、主に次の2つの試験となります。
●サンシャインウェザーメーターによる耐候性試験(促進耐候性試験)
●キセノンウェザーメーターによる耐候性試験(促進耐候性試験)
これらは基本的には紫外線を照射しながら水を掛けるというもの。これによって、物質の劣化が促進され、劣化の状況が分かるというものです。
ちなみに、両者の違いはサンシャインウェザーメーターが主に紫外線領域の光を照射。キセノンウェザーメーターが主に太陽光領域を照射する恰好となっています。
出典
一般財団法人 カケンテストセンター
https://www.kaken.or.jp/test/search/detail/203#ID2
最終閲覧日:2026年1月30日
ともかくとして、住宅はこのような試験をいくつも重ねて世に出される資材で作られて居ます。安心して住める環境は様々なテクノロジーから成っていることを覚えて欲しいです。
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