【物語の背景】
主人公は東京都内の50代の建材メーカー勤務のサラリーマン。家族は妻と子供2人。20年前に一戸建て住宅を購入。悩みは老朽化する家と小遣いの少なさ。子供は反抗期真っ最中。
「あんた!九官鳥が家に来たわよ!」
「え?九官鳥だって?こりゃ珍しい。どうしたんだい?」
「知人から預かったのよ。どうもしばらくヨーロッパに出かけるとかで。」
「まぁ、良いじゃない。ペットもたまには良いもんだろ。九官鳥ってのもおもしろい。」
かくして、九官鳥は我が家の一員となった。
「あんた、ところでペットのいる家って普通の家とちょっと違うんでしょ?」
「ああ、結構違うよ。飼い主にどんな風に提案するか、少し説明しようか。」
「あんた、頼むわ。」
ペットとの生活で重要なこと
「ペットと生活をしている人は非常にペットに気を配っていることが分かる。実際、賃貸不動産を探す人は「ペット可」を第一条件にする人も少なくない。家賃が少しぐらい高くても、そっちを選ぶんだから、どれくらい大切にしているかが分かるだろう」
「そうだわね、あんた」
「しかし、自分で家づくりをしようとすると、なかなか上手く言えないことが多い。だから、家を提案する方に責任がまわって来るんだ。」
「なるほどね。あんたの言うことは分かるわ。」
「んじゃ、どうするかと言うと、まずはこの3点を考える」
習性や行動を知ることが必要
「最初に知っておかなければいけないのが、ペットの習性や行動について。習性は教育でもなんとかなるかも知れないけど、やはり限界はあるだろ。そのため、人間の側で理解しなければいけないんだ。」
「そうだわね。あんた。」
「よく言われるのは猫の爪とぎの習性。猫の習性を理解していないと、爪とぎ対策が打てない。しかし、猫の習性や行動を知っていれば大きな問題は回避できる。」
「確かにそうだわ。あんた。」
安全性を心掛ける
「それから安全性も重要だ。例えば、犬なんかは滑りやすい床だと腰に悪影響を及ぼす。」
「あんた、それは意外だわ。」
「と言うのも、犬はもともとが地面を走る動物で、足もそのように出来ている。しかし、床がツルツルだと足がしっかりとグリップができず、腰に負担がかかる。だから滑らない床材を選ぶ……といったイメージだよ。」
ストレスが溜まらないように
「また、ストレスが溜まらないようにすることも大切。これはペット側だけの問題じゃなくて、飼い主にも言えること。確かにペットは大好きだろうが、たまには1人の時が欲しくなるもんさ。」
「あんた、それは納得が行くわ。わたしだってそう思うもん。」
【ここでのポイント】
●ペットの習性や行動を知ることが必要
●安全性を心掛ける
●ストレスが溜まらないように
具体的な施策
「では、具体的な施策を挙げてみよう。
ただし、これはあくまでも『事例』でしかない。アイディア次第でより良い家ができるので、ぜひとも案を出して欲しくも思う。
ちなみに、ペットの飼育に関しては環境省が基準を出している。最初に読んでおくと良いかもな。」
安全対策
「主な施策には次のものがある。」
●誤飲、誤食の対策
●足などが隙間に入らないように
●キッチンまわりの危険物対策
●電気やコード、ガスホースなどの対策
●水まわりや浴室まわり
●空気環境の保全
「基本的には整理整頓と家具配置の工夫、あと噛みつき対策なんかが挙げられるだろうな。」
「あんた、なるほどね。」
「例えば、小さい子供がいる家庭。小さい子供がおもちゃをひっくり返して、ペットがおもちゃの部品を飲み込んだらどうする?大変だろ。」
「確かにそうだわね。」
汚れ対策
「汚れ対策としては次の方法だろうな。」
●簡単に拭き取れるもの。(例えばクッションフロアやフロアタイルなど。フローリングは耐水タイプにする。)
●玄関に足拭きスペース。
●ベッドまわりは防水シートを敷く
「ただ、設置できるものは家の状況によっても異なるから、現地の確認が大切になる。」
「汚れ対策は重要よね。あんた」
「そ。汚れを『取る工夫』と『付着させないこと』の両方が必要さ。足をきれいに拭くとかね。」
ニオイ対策について
「次にニオイ対策だ。ニオイは『消臭』と『換気』の2つが重要だ。」
●消臭機能のついた床材や壁材
●空気清浄機の設置
●24時間換気をオフにしない
●トイレの位置の工夫(特に猫用のトイレ位置)
ニオイ対策は訪問者に対する配慮にもなるんで重要だね。
ちなみに、漆喰壁なんかは消臭機能もあって、しかもシックな雰囲気を持つ壁。雰囲気づくりにも繋がるよね。
防音対策を考える
「犬なんかは吠えるから防音対策の検討も必要だ。例えば、次のようなアイテムの設置はどうだろうな。」
●防音性の高い内装材を設置する。(壁に吸音パネルを張る、防音フロアの設置など)
●窓の工事(二重窓にするなど)
●防音カーテンなんかも有効
●防音床など
騒音には、空中を伝わる『空気音』と固い部分を伝わる『固体音』がある。ペットが駆け回ると気になるのは固体音なので、防音床なんかも良いかもね。」
逃走や事故対策はどうするか
「逃走対策として物理的に止めるのが手っ取り早い。例えばベビーゲートや二重扉。これらを玄関部分に設置すると逃走防止に役立つ。また、窓からの逃走も要注意だ。特に猫。窓を開けていると飛び出すこともあり得る。
ただ、ペットの逃走を完全に防ぐことは無理だろう。マイクロチップの登録なんかが不可欠になるだろうね。」
ペットの居場所を作るのも必要
「あと、そうだな……
室内で飼っているペットであれば、雨に濡れることも風に吹かれることもないから問題なし……と考える人もいるかも知れないけど。その考えは望ましくないと思う。
人間に自室があるように、ペットにも専用のスペースがあっても良いと思うんだ。『ペットルーム』とでも言える場所かな。
これはDIYで作るのもアリなんだけど、リフォームで内装に造作することも良いかもね。」
【ここでのポイント】
ペット飼育の施策には次の項目が必要
・安全対策
・汚れ対策
・ニオイ対策
・防音対策
・逃走や事故対策
・ペットの居場所も欲しい
ペットの事故にはどんなものがあるか
「ペットの事故なんて大きい訳がない……とまで考えている人がいるらしいけど、そうでもない。意外な事故の可能性がある。」
「例えばどんなの?あんた」
「こんなケースが挙げられる。ちなみに、ペットの事故をキッカケにしてリフォームをした家もあるようだ。」
電気コードを噛む
「不用意に電線類を放置しておくとペットが噛むことがある。今のケーブルは確かに丈夫ではあるが、そもそもペットにかじられることを前提にはしていない。場合によっては断線する。」
「なるほどね」
「けどそれでブレーカーが落ちることがあるんだ。帰ってみたら真っ暗になってて冷蔵庫も止まっている。……困ったことだと思うだろ?」
高い場所から飛び降りてケガをする
「猫は高いところから落ちても、ヒラリと身体をまわして着地することが知られている。しかし、床面がツルツルになっている場合は上手く行かないこともあるらしいんだ。その結果としてケガをしてしまった、とかね。」
「猫も困るわよね。あんた」
「まぁ、猫の足はツルツルの場所を走るようにはできていないから、無理のないことなんだろうけどね。」
鳥が窓に突っ込む
「窓ガラスは採光の状態によっては本当に透明になって見えなくなる場合があるよね。」
「うん。あるわね。」
「それに鳥が突っ込んでしまうことがあるんだ。鳥はガラスを前提にして生きている訳じゃないから、何もないと思って突っ込んでしまうんだろうね。」
事故というか、困った出来事というか……
「ペットを飼っていると結構なアクシデントに遭遇するよね。確かに深刻な事故もあるんだけど、事故までは行かない『困ったアクシデント』ね。当人としては困るんだろうけど、周囲からすれば笑えるようなヤツ。」
「例えばどんなの?」
「猫がティッシュペーパーで遊んでものすごく散らかしてしまうとか。出しても出しても出て来るのが面白いのかもね。飼い主が気付くと、周囲がティッシュで散らかっているとか。」
「そういうのは見かけるよね。」
「まぁ、ともかくとしても、そういうのもペットの面白いところかも。……ところでウチの九官鳥はどうした?」
「なんか少ししゃべり始める雰囲気よ。あんた。」
後日談:ペットの話をした後で
「センパイ、最近元気がないですね。どうしたんですか?」
「いや、怒鳴られっぱなしでね。」
「奥さんですか? ひどいなぁ」
「いや、嫁さんだけじゃないんだよ。実は鳥にも怒鳴られてさ」
「???」
「知人から九官鳥を預かったんだけど、そいつが嫁さんの『あんた!』って怒鳴るのを覚えちゃってさ。朝から晩まで怒鳴られるようになったんだ。メンタルがボロボロだよ。」
「 ……センパイ。応援してますよ。」
……アイツめ、なにが応援だ。やっぱり笑ってやがったぞ。……今夜も怒鳴られるか。とほほ。
教訓:ペットと暮らす家づくりのために
ここまでペットと暮らす家づくりを取り上げた。どのような点に注意すべきかなどがイメージできたことだろう。
さて、ここまで述べて来た点について復習しておく。
1)ペットとの生活で必要なこと
●ペットの習性や行動を知ることが必要
●安全性を心掛ける
●ストレスが溜まらないように
2)ペット飼育の施策には次の項目が必要
●安全対策
●汚れ対策
●ニオイ対策
●防音対策
●逃走や事故対策
●ペットの居場所も欲しい
ともかくとして、ペットを家族の一員とする愛好家も非常に多い。ただ、人間側はペットを全部知っている訳ではない。一緒に暮らすためにはペットをよく知ることが必要だろう。ぜひともよく知って、幸せな日々を送って欲しい。
ペットと暮らす家づくりのための追加情報
ペットを飼育する家について取り上げました。ペットを家族の一員として可愛がる方々の参考になれば幸いです。
さて、ペットの飼育に関するルールが環境省から出されているので、ここで紹介したいと思います。
そのルールは「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」というもの。それを見るならば、一般原則としてペットの所有者は家庭動物などの適正な飼養及び保管に責任を持つ者として、動物の健康と安全を保持すること、生態や習性などの理解に努めることとしています。
この考え方は家づくりにも通じるものと言えます。前にも挙げましたが、ペットに優しい家づくりをして、楽しく過ごしていただけたら、と思います。
参考資料
出典
環境省:家庭動物等の飼養及び保管に関する基準
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_r02_21_1.pdf
【この記事もおすすめ】
●本記事ではペットの飼育床について取り上げましたが、こちらの記事では床材の紹介を行っています。併せて読めば、床に関しての理解が深まると思います。
床材の選択!果たして夢が叶うか?自宅の床リノベーションを業者のショールームで考える。
●また、こちらの記事は防音床に関して取り上げています。元気の良いペットを飼ってる方におすすめの記事です。
防音床リフォームは居住条件を変えるか?……マンション住まいの若者、下から騒音クレームを食らう

